日本の雇用が変化しています。終身雇用型のみでなく、欧米に多いジョブ型も少しずつ増えてきました。生き方、働き方の多様化により転職、再就職も増えています。そのような中で、「未経験の業界や職種」「職歴にブランクあり」「40代、50代の中高年」という場合でも、再就職を成功させるためのコツを解説します。

この記事でわかること

  • 再就職を成功させるためには、コツを知り対策を講じる必要がある
  • 再就職準備として重要なのは自己分析とキャリアの棚卸し
  • 再就職に挑むときは、社会や企業の求める人材を把握することが欠かせない
  • 年代によって求められるスキルや経験は違う
  • 求められる人材になるため、自分のアピール方法の工夫が大切である

目次

  1. 再就職とは
    1. 再就職の定義
    2. 転職、再就職市場動向
  2. 再就職前に整理すること
    1. キャリア、経験をまとめる
    2. 自分の市場価値を知る
    3. 社会、企業のニーズを知る
  3. 再就職の年代別特徴
    1. 20代で評価されるキャリア、スキル
    2. 30代で評価されるキャリア、スキル
    3. 40代で評価されるキャリア、スキル
    4. 50代で評価されるキャリア、スキル
  4. 求められる人材になるために
    1. 効果的な履歴書、経歴書の作り方
    2. 採用される面接
    3. 経験の伝え方とアピール方法
  5. 再就職ならではの強みを生かそう

再就職とは

再就職の定義

「再就職」と「転職」は一見、似た意味の言葉です。どちらも「これまでの仕事を辞め、新たな仕事に就く」という点は同じですが、「離職期間の有無や長さ」が違います。一般的に転職は、現在の会社に在籍しながら次の就職先を探し、内定を得た後に退職してすぐ新たな会社へ入社することが多く、空白期間(ブランク)が無い、または短期間となります。切れ目がなく次の仕事へと移るキャリアチェンジの形態です。

それに対して「再就職」は会社を退職した後、離職期間を経て次の仕事に就く形態です。結婚、出産などライフステージの変化により、前回の退職から長期間の離職ののち会社に入社する場合も「再就職」になります。

「再就職」と「転職」の定義の最も大きな違いは「離職期間(ブランク)」ということができます。

再就職と転職
再就職 転職
定義 離職期間あり 離職期間なし
求職活動 離職中の活動 在職中の活動
職務経歴 ブランクあり ブランクなし
スキル 陳腐化のリスクあり 即戦力になる

また、再就職を目指すときには、再就職ならではのメリットとデメリットがあることを理解しておく必要があります。メリットを十分に生かし、デメリットをうまく消化することが、再就職成功につながるでしょう。

再就職の代表的なメリット・デメリット
メリット デメリット
金銭面 失業保険受給可能 離職期間収入なし
社会保険、税金を自分で手続きする
キャリア 自己分析・企業研究をしっかりと行える 職務経歴にブランクあり
スキル 離職期間に資格取得可能 実務スキルの取得、バージョンアップができない

転職、再就職市場動向

再就職活動をするときは、人材市場の動向や傾向を把握することが重要です。市場を知る1つの指標が「有効求人倍率」です。「有効求人倍率」とは厚生労働省がハローワークの求人数と求職者数を基に算出する値で、求職者に対する求人数を倍率で示すものです。

有効求人倍率は、リーマンショックの影響で2009年に約0.4倍まで低下しました。その後上昇を続けていたもののコロナ禍に再度大きく低下、それでも1.0倍を超える水準は保たれました。厚生労働省が2026年4月28日付で発表した一般職業紹介状況によると、2026年3月の有効求人倍率は1.18倍と依然として1.0倍を超えており、売り手市場といえます。

しかし大手企業への再就職は中小企業への再就職より難しいともいわれるなど、当然のことながら会社の規模や業界によって状況は異なります。昨今、特に人材が不足している業界は運輸業界、建築業界です。社会の流れを把握してこういった求人数が多い業界を候補に入れることも、再就職を成功させるコツとなります。

再就職前に整理すること

再就職に向けて動き出す前に、しっかりと自己分析をしましょう。キャリアやスキルの棚卸しを行い、今後の自分の働き方ややりたいこと、やりたくないことを整理します。また、社会状況の把握や業界分析も欠かせません。こうすることで、ミスマッチの少ない再就職をスムーズに目指せます。

キャリア、経験をまとめる

これまでのキャリアや経験を丁寧に棚卸しすることが大切です。スキルには、時代や会社が変わっても有効で陳腐化しない汎用的な「ポータブルスキル」と、特定の分野や職務に必要とされる専門的な「テクニカルスキル」があります。どの会社でも活かせる「ポータブルスキル」を持っていることを強調しつつ、応募する会社に応じた「テクニカルスキル」をアピールできると、企業から求められやすくなります。

スキルの種類

<ポータブルスキル>

  • コミュニケーション能力
  • チームワーク力
  • タイムマネジメント
  • 問題解決能力
  • クリティカルシンキング
  • プレゼンテーションスキル
  • 交渉力

<テクニカルスキル>

  • ITスキル
  • 業務独占資格
  • 必置資格
  • マーケティング知識
  • 英語力
  • 営業力
  • 接客力

自分の市場価値を知る

再就職時の自分の市場価値は「需要」と「供給」のバランスにより決まり、また変動するものです。市場価値の高い人は企業に求められている人材のため、選択肢が多くなります。

転職サイトで、自分のスキルや経験に合う求人の内容、条件を調べると、現在の自分の状況が把握できます。また、転職エージェントに登録して得られる、キャリアアドバイザーとのカウンセリング結果や、求人情報、オファーの内容からは、客観的に自分の市場価値や強みを把握することができます。

結果的に、転職エージェント経由で再就職しなかったとしても、自分の市場価値を知ることができる有用なツールとなるため、上手に活用しましょう。

社会、企業のニーズを知る

自己分析と同様に企業分析、社会情勢を把握することも不可欠です。自分のスキルや要望は同じでも、売り手市場であるか、求人が多い業界への応募であるかなど、外的環境によって再就職のしやすさや希望する企業への就職の難易度は変わります。また、企業によって求める人材が違うため、自分に適した企業や自分の希望する企業のニーズに沿ったアピールを行う必要があります。

再就職の年代別特徴

年齢により求められるキャリア、スキルが違います。年代にあったスキルの取得に努めることや、企業の要望に合わせたアピールをすることで、うまくマッチングする機会が増えます。

ここで、各年代に求められる代表的なスキルを把握しましょう。

20代で評価されるキャリア、スキル

  • ポテンシャル・成長性
  • 意欲・前向きさ
  • ポータブルスキル

20代は、学歴や基本的なビジネスマナーなどが重視される傾向があります。職歴が浅いため、実績よりも成長性や前向きさが評価されます。未経験や異業界、異職種への再就職も比較的行いやすい年代です。

30代で評価されるキャリア、スキル

  • ポータブルスキル
  • テクニカルスキル
  • リーダー経験

30代になると即戦力も求められます。そのためポータブルスキル、テクニカルスキル両方をバランスよく兼ね備えていることが必要です。更に、リーダーや管理職などメンバーを統括する経験が強みとなります。30代からは自身の能力に加え、調整、管理など人を動かせる人、指導できる人が重宝されます。

40代で評価されるキャリア、スキル

  • テクニカルスキル
  • マネジメントスキル
  • 提案力

40代は30代よりレベルの高い「テクニカルスキル」や「マネジメントスキル」が求められます。プロジェクト管理実績やマネジメント経験がある場合、しっかりとアピールしましょう。

50代で評価されるキャリア、スキル

  • テクニカルスキル
  • 特化した専門性
  • 経験値

50代には40代よりも一層「マネジメントスキル」や「特化した専門性」が求められます。

また、50代の最大の強みは豊富な経験です。経験や知識を業務に活かせる人、上手に伝えられる人が重宝されます。今後ますます人材不足の問題は深刻化していくと考えられ、豊富な経験やスキルを持つ40代、50代が活躍できる場は拡がっていきます。

もし、このような自分の年齢に求められるスキルや経験がなかったとしても、求められているものに沿った自己アピールをしたり、スキル獲得に向けての努力を伝えたりといった工夫をすることが大切です。

求められる人材になるために

社会や企業が求める人材を把握したところで、自分が求められる人材となるためのポイントを紹介します。

効果的な履歴書、経歴書の作り方

1.キャリアの棚卸しを丁寧に行う

同一業界、同一職種でも、実際に携わってきた内容は大きく違うことがあります。例えば、一口にIT業界と言っても、サービス販売やシステム構築、コンサルティングなど、業務内容は多岐に渡ります。営業職にも、物を売るのか、サービスを提供するのかといった違いがあります。また、扱ってきた規模、金額も違うことでしょう。認識の違いを防ぐために、自分のスキルやアピールポイントが伝わりやすいような工夫をしましょう。

2.数字など具体的な情報を記載する

具体的な数字、年数などを記載する、資格名、表彰履歴などを記載することが重要です。客観性と信憑性が増す情報を記載すると、企業側の理解度が高まります。

採用される面接

1.身だしなみ、ビジネスマナー

離職期間が長い場合、ビジネスシーンでの常識に疎くなってしまう場合があります。身だしなみや挨拶をはじめとする言動から、基本的ビジネススキルを備えていることを伝える必要があります。

2.キャリア、スキル、強みをアピールする

履歴書、経歴書に記載したキャリア、スキルについて体験談などを加えて具体的に説明し、より理解を深めてもらいます。

3.離職期間の活動を説明する

履歴や経歴書にはキャリア、スキルを中心に記入することが多く、ブランクや離職期間の内容について書くことは少ないです。ブランクや離職期間はマイナスと捉えられることもあるため、離職期間に前向きな活動をしたり、学んだりしていた場合には、面接で説明しましょう。より正しく理解してもらうことができます。

4.逆質問を行う

面接は企業側から質問されて求職者が答えるというスタイルが多いですが、「何か質問がありますか」「伝えておきたいことがありますか」などと聞かれた際に、「ありません」という回答は意欲がないような印象を与える場合があります。業務内容に関する質問や、質問内容に関連する自己アピールをするようにしましょう。

経験の伝え方とアピール方法

職務経歴だけでなく、幅広い経験や活動についてもアピールすることが可能です。再就職の場合、ブランク期間はマイナス要因ではなくプラス要因であったと伝える必要があります。

ライフステージの変化により前職を退職し、一定期間ブランクがある場合、たとえば、PTA活動や地域活動、ボランティア活動などに携わっていれば、それらから得たものはアピール材料となります。職務以外の活動で培った「企画力、調整力、交渉力」などはビジネススキルの「ポータブルスキル」と同様のスキルになり得ます。

離職期間中に資格などの勉強をした場合には、離職期間をスキルアップなどの自己投資期間として有効に活用できていたこと、目的意識を持ち行動できる人だということをアピールできます。

再就職ならではの強みを生かそう

再就職する人は、新卒にはない知識や幅広い経験が強みです。職務だけでなく、様々なライフステージを経て、人としても成長しています。再就職は不安も多く、不採用が続くと焦りも生じますが、求職中は誰もが似たような気持ちを抱えているものです。成功するコツを理解して前向きにチャレンジしましょう。