美容の仕事に興味を持つ人は、今も昔も多いようです。今回は、その中でも眉を美しく整える「アイブロウリスト」という仕事に注目しました。現在、アイサロンでアイリスト兼アイブロウリストとして活躍中のサトウナオさんにインタビュー。仕事に就いたきっかけから、1日のスケジュール、働き方の実情まで、詳しくお話をうかがいました。

アイブロウリストとして独立・兼業へ|アイリストからのキャリアの広げ方

━━アイリストに加えて、アイブロウリストとしてもご活躍されているとのことですね。それぞれ、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

アイリストの仕事は、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマなど、目元の施術を担当しています。アイブロウリストは、ハサミでのカットやワックスを使って、眉の形を整える施術を行う仕事です。お客様ご自身の眉毛をいかしながら、理想的な眉の枠を作っていくことを目指して丁寧にケアしています。

━━アイブロウリストの仕事を始めた経緯を教えていただけますか。

元々は美容師として働いていたのですが、30歳を過ぎた頃から、長年悩まされてきた手荒れに、「このままずっとこの仕事ができるだろうか」と考えることが多くなりました。加えて、「年齢的にもこの先、転職の選択肢が狭まっていくかもしれない」と感じ、将来の働き方について真剣に考えるようになり、32歳のときに、13年間勤めた職場を退職しました。
美容業界からは、いったん離れようと思っていたのですが、いざ辞めてみると、どこか寂しさを感じて。「やっぱり人と接することや、美容業界が好きなんだな」と、あらためて気づかされました。そんな折、ご縁があって、アイリストという仕事に就かせていただいたのです。
その後、まつ毛の施術を続けるなかで、以前から興味を持っていたアイブロウスタイリングの仕事にも関わらせていただくようになりました。

━━アイブロウスタイリングに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

美容師時代にメイクを担当した際、「眉毛がうまく描けない」と悩まれるお客様が多くいらっしゃいました。実は、私自身も自分の眉を描くのがあまり得意ではなかったので、「アイブロウの施術を本格的に学んでみたい」と漠然と思っていました。ただ、その思いは忙しさの中で心の奥にしまい込んでいたんです。
アイリストの仕事にも慣れてきて、「プラスアルファの技術もご提供できたらいいな」と考えていたタイミングで、自分のフィーリングに合うアイブロウスクールを見つけたんです。そのときに、心の片隅にあった思いがふとよみがえって、「通ってみたい」と思いました。
ただ、私は雇用されている立場でしたので、まずはオーナーに相談しました。スクール代も道具も自分で準備をするので、ぜひやらせてほしいと、熱意を持ってお願いしたんです。

━━アイブロウスタイリングのお仕事については、ご自身で準備されたとのことですが、雇用形態はどのようになっているのでしょうか。

アイリストとしての仕事は、お店からお給料をいただいています。アイブロウリストの仕事に関しては、施術内容や道具などをすべて自分で準備したこともあり、個人事業主という形で働かせていただいています。

アイリストとアイブロウリストを両立!働き方と1日のスケジュールも紹介

━━アイリストとアイブロウリスト、それぞれのお仕事の配分はどのようにされていますか。

完全に分けているわけではなく、アイブロウもお店のメニューの一つとして取り扱っていただいています。そのため、勤務時間内で、まつ毛のお客様と眉毛のお客様の両方を担当しています。アイブロウの施術も、まつ毛の施術と同じスペースを使わせていただいており、売上の一部をお店にお支払いする形です。

━━1日のスケジュールを教えてくださいますか。

朝は7時頃に起床します。出勤時間は9時半ですが、9時過ぎにはお店に到着して開店準備を始めます。施術は10時から18時半まで行い、その後はレジ締めや片付けをして、退勤は19時〜19時半頃です。それ以降はプライベートの時間を過ごし、就寝は24時頃になります。
予約が詰まってフル稼働する日や、施術が営業時間を過ぎてしまう日もありますが、その分、予約が少ない日は早めに帰らせていただくなど、柔軟に時間の配慮をしていただいています。
最近では、メーカーさんなどがZoomやインスタライブを使って、夜に勉強会を開く機会が増えてきました。スキルアップの一環として、できるだけ参加するようにしていますが、無理のないペースで継続することを心がけています。

以前は、お客様のご都合を優先するあ事まり、つい予定を詰め込みすぎてしまうこともありましたが、今は体のメンテナンスの大切さにも配慮し、休養を取る日を意図的に設けるようにしています。半年に1回ほど旅行に出かけ、日常から少し離れる時間を持つことで、オンとオフの切り替えも大事にするようになりました。

━━アイブロウの施術をするようになって、一番変わったことは何ですか。

そうですね、一番の変化は、仕事の幅が広がったことです。それにともなって、収入面でも前向きな変化がありました。

美容業界では、トレンドの変化が早く、1度技術を習得したら終わりというものではありません。次々と新しい商材が登場し、それらを自費で試したり、休日に外部セミナーを受講したりと、常に学び続ける姿勢が求められます。
この業界では、自らの努力が結果として返ってくる半面、安定した成果を出すには、技術力に加えて提案力や柔軟な対応力も必要です。私自身、よりご満足いただける施術を提供するためにスキルアップに力を注いできました。

アイブロウスタイリングをメニューに加えたことで、たとえば、まつ毛と眉毛の施術を同じ時間枠の中でご提供できるようになり、限られた時間をより有効に活用できるようになりました。その結果、施術時間あたりの効率も上がり、無理のない範囲でお客様のご要望にお応えできるようになっています。

また、まつ毛の施術は女性のお客様が中心ですが、アイブロウスタイリングは男性にもご利用いただけるため、客層が広がったことも大きな変化です。より多くの方と関わることで、接客の幅も自然と広がり、自分自身の成長にもつながっていると感じます。 こうした変化をきっかけに、より質の高い技術を身につけるための研修にも積極的に参加できるようになりました。いただいた報酬は、今後も技術と知識の向上にしっかりと投資していきたいと考えています。

アイブロウ施術のやりがいと収入━━この仕事を続ける理由とは

━━では、そのアイブロウ施術による収入面についても教えてください。どのくらいの収入になるのでしょうか。

アイブロウの施術に使うスペース代をお支払いしたうえで、お店からのお給料に加え月10万円前後の収入があります。ただし、ご来店数によって変動がありますし、材料費や研修費などの出費が増える月もあるため、手取り額は毎月一定ではありません。

━━現在の収入に至るまでには、どのような工夫や取り組みをされてきたのですか。

アイブロウリストとして働き始めて、今年で5年目になります。
ちょうどコロナ禍が明けた頃にアイブロウスクールを卒業したのですが、当時はアイブロウのサロンケアが注目されていた時期でした。まつ毛の施術でご来店していたお客様からも、アイブロウのご予約を多くいただくようになりました。
私は、お客様に「また来たい」と思っていただけるような空間づくりを大切にしています。技術はもちろん、心地よく過ごせる雰囲気や、リラックスして会話を楽しめる接客にも気を配ってきました。そのために、人との接し方や思いやりの姿勢を大切にしながら、人間力を高める努力を続けています。

眉毛の施術では、お顔の骨格や筋肉に触れてご提案を行うため、お客様との信頼関係がとても重要です。こちらが「似合う」と思って提案した眉が、必ずしもお客様の「好みの眉」と一致するとはかぎりません。ですから、カウンセリングにはしっかり時間をかけて、丁寧にお話をうかがうようにしています。お客様とのコミュニケーション力も技術と同じくらい大切なスキルだと実感しています。

また、自分の技術に誇りを持って仕事をしたいという気持ちがあるので、「もっとよくするにはどうしたらいいのか?」と常に考えるようにしてきました。その気持ちを持ち続けて学びを深めていると、自然にお客様がリピートしてくださるようになったと思います。

━━アイブロウスタイリングの仕事をプラスして、よかった点ややりがいを感じるところはありますか。逆に、大変だと感じる点はありますか。

まつ毛だけでなく、アイゾーン全体を総合的にプロデュースできるようになったことで、お客様の目元に関するさまざまなお悩みに対して、幅広いご提案ができるようになった点がよかったですね。
大変だと感じることは、実のところあまりありません。できないことがあっても「何とかやり遂げよう」と前向きに取り組むタイプなので、学ぶことも苦にならず、むしろ楽しみながら仕事をしているという感じでしょうか。お客様に、笑顔で「また来ますね」とお声がけいただけると、この仕事をしていて本当によかったなと心から思えます。そうしたひと言が励みになり、やりがいや充実感にもつながっています。

━━お話をうかがっていると、今のお仕事に誇りとやりがいを持っていらっしゃることが、とても伝わってきました。では、そうしたご経験をふまえて、アイブロウリストの仕事に興味がある方や、仕事を変えたいと考えている方に向けてアドバイスをいただけますか。

イブロウリストとして働くには、眉の形を整える施術でハサミを使うため、美容師免許が必要になります。それに加えて、アイブロウの専門技術も身につける必要があります。一人前になるには時間がかかりますが、美容が好き(自分が行っている施術が好き)ということや探究心、学び続ける姿勢、そして謙虚な心が何よりも大切です。 もし、教えてくれる人がいる環境であれば、その時間を割いてくれることへの感謝も忘れないようにしたいですね。
それから、人と接する仕事だからこそ、「人が好き」という気持ちは大きな原動力になります。 技術を身につけることで、自分自身も成長できますし、お客様が笑顔で帰ってくださる瞬間は本当にうれしく、やりがいを感じられます。

もし今すぐに理想の仕事に就けなかったとしても、私がアイリストとして働きながら、アイブロウリストになったように、まずは興味のある世界に近づく行動を起こしてみてください。「やりたい」と思ったその気持ちを大切に、今できることから少しずつ始めていけば、きっと道は開けていくと思います。