
人生のキャリアプランは、時に思いもよらない形で書き換えられることがあります。仕事もプライベートも順調に進み始めた矢先、大きなアクシデントに直面したら、あなたならどうしますか?今回は、「WEBライター」「WEBデザイン」「FP相談業務」の3つの事業を柱に活躍されている児島さんに、現在に至るまでのストーリーやお仕事に対する姿勢について、詳しくお話をうかがいました。
ハードな職場環境で実績を上げながら、今の起業につながる副業もスタート。
━━現在のお仕事内容について教えてください。
2023年11月に「WEBライター」「WEBデザイン」「FPの相談業務」の3つの柱で起業しました。現在、メインとなるライター業務での執筆実績は900記事を超え、記名記事や専門家コメントなども出させていただいてます。
もともとFP2級、AFP資格、公的保険アドバイザーの資格を保有しており、これまでの経験を生かしてFPライターという形でやっています。また、大学でゲスト講師としてFPの講義を行うこともあります。

━━それでは、起業前のお仕事や働き方について教えてください。
21歳から5年間、生命保険会社で勤務しました。母の影響もあり、また勉強が好きなこともあって、営業職がしっくりきました。マネージャーにも昇進したんですが、小さな子ども2人を抱え、家庭の事情もあり「不安定な生命保険会社ではだめだ。」となって、転職を考えたんです。
その後、26歳でバスの運行請負業務を行う大手企業に転職し、10年間勤務しました。仕事内容は、採用・人事、新規営業、運転手さんの勤務管理、事故などの苦情処理など多岐にわたり、時には代行で私がバスの運転をすることも。かなりのハードワークで、過労から体調を崩し、1年半の休職期間を経て退職しました。
そして、体調も回復したので別のバス会社に営業職として入りました。そのころには、子どもも手が離れ、再婚したことをきっかけに、休職期間中に勉強していたWEBライターやWEBデザインのスキルを生かして、副業として活動をスタートしました。
突然の人生の大きな転機と向き合って。
━━では、現在のお仕事に変わられたきっかっけは何でしたか?
2022年40歳の時です。3回目のコロナワクチン接種を受けたとき電撃痛が走りました。刺した場所が悪かったらしく、麻痺状態に。現在も左手は機能せず、痛みもあり、障害者手帳を取得しています。
仕事は6か月休職したんですが、もう治る見込みがないという状態で。何とか傷病手当をもらい、通院をしながら生活していたのですが、最終的には退職しました。
休職中は、「このまま働けなくなる、どうしよう」と不安がありましたし、落ち込みもしました。しかし、ポジティブに「じゃあ何かできる仕事をしたい」と思ったんです。しかし、片手では自転車も乗れない、痛みも常にあり、激しい時は集中もできない。そんな状態で簡単に働ける場所は見つからない。
それならば専業で自分に何ができるかなと思ったときに、webライター、webデザインを副業でやっていた実績があった。また、FP業務は無料でボランティア的に相談を受けていて、それを仕事として、私みたいに困っている方や、社会保障も受けられない人に少しでも届けばと思って。「じゃあ三本柱でいこう!」という風にして、今の事業が形になりました。
屋号『W&D』に込めた想い。
━━大変な試練に向き合われたのですね。屋号の『W&D』にはどんな想いが込められていますか?
W&Dは、ライター&デザインという意味ですが、「人生のデザイン」「目で見たデザイン」「文章のデザイン」の3つのデザインを描きながら事業をしたいという思いからこの名前にしました。
屋号にしたら、今までの出来事やその時の気持ちを嫌でも思い出しますよね。良いことも悪いこともすべてひっくるめて自分自身が忘れないようにと。初心忘るべからずです。
━━今のお仕事のキーポイントになる、ライター業務やFP資格について詳しく教えてください。
ライターについては、昔から国語が好きで、子ども時代に作文で賞をもらったこともあり、本格的に勉強を開始。また、ライターのお仕事をしているうちにデザインやホームページ作成にも興味が湧き、webデザインの勉強も始めました。
━━最初のお仕事を獲得するのは大変ではありませんでしたか?ポイントなどがあれば教えてください。
とにかく手当たり次第クラウドソーシングサイトに登録して、報酬金額関係なく応募しました。幅広くなんでもね。「今時調べれば何でもわかる!私はできる!」とマインドコントロールして。
それこそ最初は文字単価0.2円などもざらで、報酬としては微々たるものでした。しかし、「学ぶにはお金を払わないといけないのに、お金をもらって勉強させてもらえる。それならばどんどんやるべき。」と前向きに捉え、経験を積んでいきました。だから、今でもそこまでお金に固執していません。
━━FPの資格についてはいかがですか?
そうですね。17年前に生命保険会社を辞めた後、それまでの知識をそのままにするのはもったいないとFP2級を取りました。その間、知人などにプライベートでアドバイスしてきたんですが、それだけだと独立してやっていくには全然足りなくて。
そこで、日本FP協会に登録して、AFPというFP2級の資格と経験を生かして提案ができるプランナーの資格を取って登録しました。また、本当の生活のリスクという意味で、公的な社会保障を知ってもらうために公的保険アドバイザーという資格も取得しています。
今でもいろいろなご相談に対応できるようにスキルアップを心がけています。それが結局、記事執筆やデザインワークを通じて皆さんに有益な情報をお伝えすることにつながるので。

「働き方が変わると、人生も変わる」――起業で得た大きな変化とは?
━━以前の働き方と現在の働き方を比べると以下の点はどのように変わりましたか?
- やりがいについて ~収入面の充実と解放感~
前職では、営業は好きでしたが、仕事を取ればその分いろいろな管理業務が増えて忙しくなる。しかし、月給は一定のままだったので、やりがいが感じにくい部分がありました。
しかし、現職はやればやった分だけ収入として跳ね返ってくる。それに伴い、好きな仕事を思う存分できる解放感があります。収入が上がれば親孝行ができるし、愛犬を連れて旅行にもいける。それが現在の大きなやりがいです。
- 生活について ~時間的な余裕ができた~
以前は連休も取れず、日曜・祝日も仕事のことが多く、主人と休みが合いませんでした。
起業してからは時間に余裕ができて、生活が充実しています。猫と犬も飼えるようになった。行ってらっしゃい、お帰りなさいが言える。家族で一緒の時間を楽しめるし、プライベートの時間も大切にできています。
- 大変さや苦労する点 ~自己管理~
会社員時代は、プライベートの時間が本当に少なかった。休みの日も常に電話が入るんじゃないかと気になって、呼出音が鳴っていないのに鳴ってる気がしていました。
現在苦労しているのは、自己管理。家が仕事場なので、やる気が無いと一日ダラダラしてしまう。そこは自分に厳しく、徹底的にタイムスケジュールを組んで、自己管理しています。自分との葛藤ですね。
- その他、前職と現職とで変化したことはありますか? ~人間関係の変化~
前の会社も結構楽しくて好きだったんですけど、ちょっと嫌なことも我慢でしたから。何か矛盾してるなとか、上司との兼ね合いとかね。現在は無理に人と付き合うことがなくなりましたね。嫌なことを我慢しなくて良くなった。それがなくなって人間関係のストレスからは解放されました。
ぶれない私の生き方――『言われる前に感じ取る』ということ
━━お仕事をする上で大切に思われている軸はなんでしょう?
大切にしている考えは『言われる前に感じ取る』ですね。家族や友達に対しても、クライアントに対しても、言われる前に相手が何をして欲しいか、何を望んでいるかを常に意識しています。それを文章や言葉で感じ取って、向こうが期待してくれている以上のことを提供したい。これは、物心がついた頃から意識していて、それは今も変わりません。そういうふうに育てられたというのもあると思います。私の生き方だと思います。
━━では、最後に働き方や仕事を今変えたいなと考えている方にアドバイスをいただけますか?
私の場合は、「たまたまパソコンがあった」「インターネット環境があった」「副業していて実績があった」ということなのですが、何もないところからやろうとすると、まず自分のできることを探さないといけない。そもそもその前に家族の理解っていうのが一番大事だと思います。
独身だったらいいと思うんですけど、やっぱり家族の理解が無いと、どんな働き方でも、喧嘩になったりとか、自分のしたいようにできないっていうのがあると思うんです。私の場合は主人が理解ある人で、何も言われないんで好きなようにやってるんですけどね。
「家族の理解」「仕事の環境づくり」「自分のスキル」。この3つがあって初めて、働き方を変えたり独立したりできるのだと思います。家族の気持ちをまず考えて、その中でできることを考えた方がいいと思いました。
