
子育てやライフイベントによって働き方が変わりやすい女性にとって、好きな仕事を続けることは、ときには難しい場合もあります。宇宙が大好きなふなきめぐみさんは、育児のために働き方を変えながらも、宇宙への夢を手放さずにキャリアを重ねてきました。現在は、理工系分野の就職支援業務に携わりつつ、自身の“宇宙への思い”とも向き合い続けています。好きなことと働き方をどのようにつないできたのか、その歩みを詳しくうかがいました。
宇宙への思いを抱きながら、働き方を変えることになった転機
━━現在の仕事について教えてください。
卒業した大学の学科で、就職支援の仕事をしています。主に、学校推薦の受付窓口を担当しています。パートとして週3日勤務し、3年ほどになります。
━━以前の働き方や仕事の内容、現在の仕事に就こうと思ったきっかけを教えていただけますか。
大学生のときには航空宇宙工学を学び、宇宙開発の仕事を目指していました。
ただ、当時は就職氷河期で女性が活躍できる環境も少なく、その分野への就職は叶いませんでした。宇宙に関わる仕事を求めてプラネタリウムを製造するメーカーに就職しましたが、会社が地方へ移転することになったため退職し、その後はプラネタリウムで星座の解説をする仕事に携わりました。
結婚を機に子育ての時間も確保したいと思い、フルタイムからパート勤務に切り替え、臨床検査の仕事などをしていました。それでも、宇宙への思いはずっと消えず、子どもが大学生になったことをきっかけに、プラネタリウムの星座解説の仕事に戻り、現在は理工系の学生の就職支援の仕事をしています。

━━就職支援の仕事をする上で、スキルや知識を身につけたり資格を取ったりしましたか。資格を取得した場合、その経緯や方法を教えてください。
子育てをしながらパート勤務を続けていた時期に、産業カウンセラーの資格を取得しました。
出産や子育ての時期は働き方の調整が必要になる人も多いと思います。私自身もそうした経験をしてきたことで、理工系の分野で働きたいと考える女性を応援したいという思いが強くなり、キャリア支援に関わりたいと考えるようになりました。
資格取得の際は、産業カウンセラー協会が開く地元の教室に、週1回、約7カ月通いました。その後、ハローワークで就職支援の窓口の仕事に携わった経験もあり、それが今の仕事にもつながっています。

宇宙に関わる仕事のやりがいと、就職支援で心がけていること
━━現在の働き方と以前の働き方を比べて、特に変わったと感じたことは何でしょうか?
フルタイムとパートタイムの働き方についてお話ししますと、正社員として働いていた当時は、長時間勤務や転勤が避けにくい状況で、家庭との両立が難しい場面がありました。今ほど子育て支援制度が整っていなかったこともあり、子どもを育てながら働く上で、どうしても難しさを感じることが多かったんです。
そのため、自分に合った働き方としてパート勤務を選ぶことになりました。働く時間が短くなったことで心身に余裕が生まれ、今の働き方が自分には合っていると感じています。
━━フルタイムからパート勤務になって、収入の面ではどのような変化がありましたか。
パートですので時給制になり、正社員として働いていた頃に比べると収入は少なくなりました。けれど、体調を見ながら無理なく働けることを優先しているので、今はこのくらいの勤務時間が自分にはちょうどよいと思っています。
━━1日の生活のスケジュールを教えていただけますか。
朝6時半に起きて、仕事がある日は9時頃に自宅を出て、10時~17時頃まで勤務します。帰宅後は家事をして、23時頃には休むようにしています。基本的に仕事は家には持ち込まず、家ではしっかり体を休めるようにしています。
━━勤労時間が短くなったことで、体の休養や学びの時間が持てたりもしたのですね。では次に、就職支援の仕事のやりがいと、大変だと感じる面について教えてください。
自分の進む道を自分で選べるように、さまざまな情報を提供したり、女性の場合は安心してキャリアを築けるよう支援したりすることに、大きなやりがいを感じています。宇宙が好きな学生さんの夢をうかがいながらお話しする時間は、私にとっても、心が満たされるひとときです。私自身も宇宙が大好きなので、その思いを共有しながらお話しできることに幸せを感じています。
理工学系の分野では、学生の中で女性が占める割合は、私が在学していた頃に比べて少し増えてきました。それでも、まだ十分とはいえません。もっと女性が宇宙に関わる仕事の場で活躍できるような未来が広がってほしいと願っています。私の経験をお伝えすることで、進路を考える際の一つの参考になればうれしいです。
大変というよりも気をつけている点ですが、進路はご本人が選んでいくものですので、仕事を決めつけるようなアドバイスはしないように心がけています。また、メンタル面の相談は安易に受けず、必要に応じて専門の方につないでいます。
私は公共系の仕事に携わることが多いのですが、長期で働けない点は惜しいところです。この仕事は5年契約で、その点だけは少し残念に感じています。

好きなことを仕事に近づけるために、小さな一歩を続けることの大切さ
━━宇宙のお話をされていると、とても表情が輝いて見えますね。好きなことを仕事にするには、どうすればよいのでしょうか。
私の場合は、ずっと宇宙に関わる仕事をしたいと思い続けています。今でも「宇宙飛行士になりたい」という夢があり、宇宙農業に携わりたいと願っています。実現するのは簡単ではないかもしれませんが、少しでも近づけたらと、オンラインの勉強会を探して参加しています。
好きな気持ちを大切にしながら、少しずつ行動を重ねていくことが道を開いてくれるように思います。
━━最後に、働き方や仕事を変えたいと思っていてもどこから手をつけたらよいのか迷っている方へ、最初の一歩として何をすればよいのかアドバイスをお願いします。
今までやってきたことに、無駄な経験はひとつもないと思っています。これまでの自分の歩みが、思いがけない形で仕事に生かされることがあります。何から始めればよいのかがわからないときには、キャリアカウンセリングを受けてみるのも一つの方法です。
私自身、産業カウンセラーの資格を取る際にカウンセリングの実習があり、自分の思いを言葉にすることで考えが整理された体験をしました。一人で悩むよりは、キャリアカウンセラーさんと一緒に、自分の経験や強みを洗い出してみると、新しい視点や気づきを得られることが多いと思います。
カウンセリングというと敷居が高いと感じるかもしれませんが、東京を例に挙げれば、東京しごとセンターやハローワークなどで無料相談ができますので、まずは公共機関を利用してみてください。
自分だけで抱え込まず、専門の方のサポートを受けながら、自分の中にある思いや強みを掘り起こしていくことで、次の一歩が見えてくると思います。
