━━まずは簡単に自己紹介をお願いします。

2025年度の社会保険労務士試験に合格したM.Sです。2024年の2月頃に試験勉強を始めまして、1年目は勉強不足で不合格。今年2回目の挑戦で合格できました。

現在は主にライターのお仕事をしながら、開業に向けて準備をしています。

━━社労士試験を受けようと思ったきっかけを教えてください。

実はこれまではずっと、小学校や特別支援学校で教員として働いていました。天職だと思いながらやりがいをもって働いていたのですが、38歳の時に突然難病を発症しまして。休職して復帰を目指していたのですが、治療後もフルタイムで働くことが難しく、退職という決断をすることになりました。

その中で、治療と仕事の両立の難しさを痛感しました。

また、「車いす購入」「障害者手帳」「高額療養費制度」「難病医療費助成制度」「訪問看護や訪問理学療法」「障害年金」など、さまざまな制度の利用をすることになったのですが、とにかく情報が少なく、内容も複雑で。

体調もすぐれず、治療も思うように進まずメンタル的にも落ち込みやすい中で、生きるために動くしかない状況がとても大変でした。

その中で、どうせ情報を集めるなら徹底的に勉強して、同じような状況で悩む人たちに役立つことがしたいと思うようになりました。障害年金の準備を進める中で社労士の存在を知り、この資格を取得すれば専門的知識を活かしたサポートができるのではないかと思ったのが、社労士試験を受けようと思ったきっかけです。

━━社労士試験の勉強はどのように進めましたか。

通信講座を受講しました。はじめは本屋で市販のテキストを手に取ってみたのですが、「これは通信講座を受講しないと厳しいレベルの試験だ」と感じ、結果的にその直感は当たっていました。

以前から時々受講していた大手通信教育に社労士講座があるのを思い出し、資料を取り寄せて受講を決めました。

1年目はその通信講座をメインに、社労士試験対策アプリと並行して学習しました。メインテキストは2周し、社労士試験対策アプリは達成度約90%まで学習しました。模試も3回分受けたのですが、社労士試験は午前・午後合わせると290分と長時間で、内容も膨大です。その分、復習に想像以上に時間がかかり、過去問は1年分しか解けないまま本番を迎えました。

結果は不合格でしたが、やり残した分ができていれば合格ラインに届いていたと思える点数で、「半年でよくここまでやれた」とむしろ自信を得られました。

2年目は、教材を追加しました。試験前にたまたま見た資格予備校講師のYouTube動画がとても分かりやすく、その内容が本試験でも出題され、得点できたんです。それをきっかけに、その講師が開講している通信講座の受講を決めました。

スライドを使って視覚的に整理された講義動画が中心で、各科目2時間半ほどで全体を学べる構成です。短時間で全体を復習できるので、「忘却との戦い」と言われる社労士試験にぴったりでした。動画教材は最終的に3周ほど視聴しました。

その他、過去問は6年分、模試は2社で計5回分に取り組みました。1年目と同じ対策アプリも、一度リセットして2周以上活用し、問題演習もタブレットを使って繰り返し行いました。1年目の通信講座もサポート期間内だったので、そこから届いた法改正対策教材なども含め、最後は「やり切った!」と胸を張れるところまで仕上げました。

━━1日あたり平均何時間くらい勉強しましたか?また、勉強時間を確保するため工夫したことがあれば教えてください。

5月頃からは、平日は1日5〜6時間ほど勉強していたと思います。
休日は子どもがいるため、なかなか時間が取れず、2時間くらいでした。

「机に向かっての学習」「スマホでできる学習」「横になりながらでもできる学習」と分けて、自分の体調に合わせ、できる時にできることをとにかく積み重ねました。

試験1ヶ月前くらいからは、休日も夫に子どもをお願いして、勉強時間を確保していました。
ちなみに5月までは、リモートワークのパートの仕事で手いっぱいで、1日1時間も勉強できていませんでした。
5月に退職してから一気に追い上げ、間に合わせることができました。

━━勉強で「これをやって良かった!」という工夫があれば教えてください。また、苦手科目にはどう対策されましたか。

「ポモドーロテクニック」という、25分集中して5分休むサイクルを繰り返す勉強法があるんです。
集中力が高まると聞き、取り入れてみました。午後の択一試験は、1科目25分で解くことが推奨されているのですが、その時間配分の練習にもぴったりでした。

YouTubeにはポモドーロテクニックを活用した動画がたくさんあるので、その日の気分で動画を選び、使っていました。流し始めると本当に集中でき、「6サイクルできた!」などと達成感も得られるのでおすすめです。

苦手科目は「労働保険一般常識」と「社会保険一般常識」でした。範囲が広く、テキストでカバーしきれない統計や白書などからも出題されるため苦戦しました。
行った対策としては、テキストにある内容は他科目以上に習熟を目指すことと、日常的に関連ニュースなどにアンテナを張ることです。

「日本年金機構」「総務省」「全国社会保険労務士会連合会」などのSNSアカウントをフォローし、投稿を読むことでも最新情報を得ていました。実際、ニュースで見ていた内容が本試験で出題され、「地道な努力は報われるんだ!」と試験中に思わずテンションが上がりました。

また、これは勉強法ではありませんが、試験会場が分かった時点で下見に行きました。
2年目の試験会場は初めて行く地域の大学だったので、行き方を確認し、試験が行われる建物も外から見てきました。遅刻防止のためでしたが、当日到着してからも、思った以上の安心感がありました。ぜひおすすめしたい工夫です。

━━家庭や勉強の両立で大変だったことは?

社労士試験は毎年8月末に実施されます。直前期がちょうど子どもたちの夏休みと重なってしまうのが悩みでした。お盆期間もどこにも連れて行けないだろうと感じていたので、今年は思い切って7月末に北海道旅行に行くことにしました。

旅行中はほぼ試験勉強から離れて、家族で思い切り楽しみ、私もリフレッシュ。その後の1ヶ月は夫に頼りきりで、保育園の休みのたびに子どもをショッピングセンターのイベントやプールなどへ連れて行ってもらいました。夏のはじめに思い切り遊んだことで子どもたちも満足できていたようで、不満はありませんでした。

とはいえ、「これをもう1年続けるのは家族の負担が大きすぎる」と思いながらの直前期でした。それが、「何としても今年合格したい!」という強い気もちにつながりました。

━━勉強中、モチベーションアップにつながったことは何でしょうか。

ご褒美制度を取り入れました。映画鑑賞が好きなので、「過去問集をここまでやったら映画を観に行く」など決めて勉強していました。マイペースにやっていたら上映が終わってしまいそうになることもあり、ちょうどいいプレッシャーになりました。

それから、生成AIが役立ちました。独学で、SNSなどでの交流もせずに勉強していたので、ある意味孤独だったんです。ある日、ふとAIに勉強法について相談してみたところ、思った以上に的確なアドバイスが返ってきました。その年の過去問の傾向なども把握していて、私の解答状況から次の勉強のアドバイスをくれたり、私の日々の状況を理解した上で励ましてくれたり。それに気づいてからは、試験勉強の進捗、模試の結果、弱音など、何でもAIに伝えて、コーチとして活用していました。

━━試験当日の手応えはどうでしたか。合格を知った時のお気持ちも教えてください。

知らない内容が多く出題され、不安な気もちはありましたが、これまで十分に勉強してきたおかげで、「これはみんな解けない問題」「基本を落とさなければ大丈夫」と思え、落ち着いて解答できました。

試験後は、各資格予備校などが出している解答速報をもとに、すぐに自己採点をしました。その結果、合格基準点をしっかり満たしていることが分かり、心からほっとしました。

━━社労士の資格を今後どのように活かしていきたいですか。

将来的には、独立開業を目指しています。

以前の自分と同じように病気や障害で困っている方を、専門的知識を活かしてサポートしたいと考えています。

治療と仕事の両立支援にも携わり、病気や障害があっても安心して働ける社会にも貢献していけたらと思っています。

また、教員時代には、障害のある子どもたちとそのご家族とたくさん出会いました。そんな子どもたちやご家族が、将来に安心感をもてるようなお手伝いもしていきたいと思っています。

━━社労士資格の取得を考えている40代〜60代の読者の方に向けて、ひと言アドバイスをお願いします。

社労士試験の合格者のうち、約55%以上が40代以上です。また、社労士登録をして働いている社労士の平均年齢は55.8歳※とされています。最近も、定年退職してから社労士試験に合格し、開業された方と知り合いました。

社労士試験はとても大変な試験ですが、その覚悟をもてれば、40代以上でも十分挑戦する価値のある試験だと思います。

興味をもった方は、ぜひ一歩を踏み出してください。応援しています。

※厚生労働省 社会保険労務士白書(2022年版)