
キャリアアップや再就職のために資格取得を考えている方は多いのではないでしょうか。今回は、その選択肢の一つとして、社労士(社会保険労務士)を紹介します。女性に人気の国家資格で、難関ですが挑戦する価値は高い資格です。本記事では、社労士の仕事内容や、40代から社労士資格を取るメリット、試験の特徴や合格後の働き方など、40代女性が社労士を目指す理由をわかりやすく紹介します。自分の人生経験を活かして長く働ける「一生ものの資格」を探している方は、ぜひ参考にしてください。
-この記事でわかること-
- 社労士とは、労働や社会保険の専門家として、手続きや相談を行う仕事。
- 社労士合格者には、40代以上が多くいる。女性や会社員の割合も多い。
- 学習内容は、試験対策としてだけでなく、自分や家族を守る力となり、日常の仕事や働き方にも役立つ。
目次
- 社労士(社会保険労務士)はどんな仕事?
- 1号業務(手続き・申請の代行)
- 2号業務(帳簿や規程の作成)
- 3号業務(相談・コンサルティング)
- 合格後の働き方は色々
- 社労士事務所を開業
- 社労士事務所に勤務
- 一般企業に勤務
- 官公庁(年金事務所・労働基準監督署など)に勤務
- 40代から社労士を目指すメリット
- メリット1 少ないコストで開業できる
- メリット2 定年を気にせず、自分のペースで働き続けることができる
- メリット3 今までの経歴が価値になる
- 40代女性に多い悩みと社労士資格の関係
- 資格取得までの道のり
- 試験概要・合格率
- 受験資格
- 学習方法
- 関連資格を先に取得する方法も
社労士(社会保険労務士)はどんな仕事?
そもそも社労士とは、どのような職業なのでしょうか。
簡単に言えば、「社会保険(年金・健康保険など)と労働の法律に関する専門家」です。
これらの制度が正しく運用されるよう支援することで、人が安心して働き、生活できる環境を整えること、そして企業が健全に発展し豊かな経済社会が実現することを目指しています。
社労士の仕事は、大きく「1号業務」「2号業務」「3号業務」に分けられます。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、それぞれの内容を簡単に見ていきましょう。
1号業務(手続き・申請の代行)
雇用保険や社会保険など、労働・社会保険関係の手続きを企業や個人に代わって行います。入退社時の届け出や、社会保険料の計算や申請、助成金や障害年金の申請書類の作成・提出などが代表的です。
2号業務(帳簿や規程の作成)
労働者名簿、賃金台帳、就業規則など、企業が備えるべき書類を作成します。働く環境を整え、トラブルを防ぐ大切な仕事です。
3号業務(相談・コンサルティング)
労務管理や社会保険制度に関する相談に応じます。たとえば、働き方改革、ハラスメント防止などです。
また、給与計算の代行や労務システムの導入支援など、付随・関連する業務を通じて企業を幅広く支える社労士も増えています。
数は多くありませんが、社労士を主人公にした小説や漫画もあります。気軽に楽しみながら社労士の世界を知ることができるので、興味を深めるきっかけとして読んでみるのもおすすめです。
合格後の働き方は色々
合格後の働き方にも色々なパターンがあります。
中央経済社-社会保険労務士白書-2024年版より、最新の社労士の働き方を紹介していきます。
社労士事務所を開業
まずは、開業するパターンです。社労士登録をしている人の半数以上が個人事務所を開業しています。そのうち、56.4%が1人事務所で、社労士資格をもつ人が従業員を雇うことなく1人で仕事しています。一方、従業員を10人以上雇用している社労士事務所も全体の3.6%と、数として多くはありませんが存在しています。

開業しない場合には、様々な組織に雇用され勤務することになります。その場合の働き先としては、以下のような選択肢があります。
社労士事務所に勤務
安定した収入を得ながら社労士業務を行えます。
一般企業に勤務
人事・総務などで、自社の社会保険手続きや人事労務管理に関する業務を担当するパターンが典型的です。資格手当をもらえるケースもあるようです。近年、人事労務管理の重要性が高まっており、社労士資格を取得してから転職に成功するケースも多いようです。
また、一般企業に勤務しながら、副業として社労士事務所を開業するパターンもあります。雇用され安定収入は得ながら少しずつ社労士としての実績を積み、後々開業一本に切り替えるというやり方も選べることになります。
官公庁(年金事務所・労働基準監督署など)に勤務
パートタイムが中心ではありますが、年金事務所などの官公庁でも多くの社労士が年金相談などの仕事をしています。
40代から社労士を目指すメリット
社労士は、年齢に関係なく挑戦できる資格です。2025年度の合格者の年齢別割合を見ると、約55%以上が40代以上の合格者です。逆に20代以下の合格者は約13%と、一度ある程度の社会経験を積んでから合格している人が多いことがわかります。ちなみに、2025年度の最年少合格者は19歳、最高齢合格者は78歳でした。

また、合格者の多くが働きながら合格を果たしています。2025年度は、会社員と公務員が70.1%、団体職員・自営業・役員が11.2%でした。
そして、実は士業の中で最も女性合格者の割合が多いのが社労士です。

合格後も、社労士として活躍している女性がたくさんいます。
このように、合格者の傾向からも、年齢や性別に関係なく社労士を目指す人が多いことがわかりますが、40代以上で社労士を目指すメリットを3つご紹介します。
メリット1 少ないコストで開業できる
士業の大きな魅力の一つは、少ないコストで開業できることです。
専門知識とパソコンがあれば、自宅やレンタルオフィスでも十分に仕事を始められます。最低限必要な費用は、登録料です。社労士として開業するためには、全国社会保険労務士会連合会に登録し、各都道府県の社会保険労務士会に入会する必要があります。これに、地域によりますが最大30万円程は必要です。
その他、広告宣伝費や事務機器などの購入費用もかかってはきますが、お店を借りて開業することなどに比べると、コストはぐんと少ないと言えるでしょう。
メリット2 定年を気にせず、自分のペースで働き続けることができる
2つ目のメリットは、社労士として開業すれば、定年に関係なく働き続けられることです。仕事を受注する件数は自分で決められるため、家庭の状況や自身の体力に合わせて働きやすい環境といえます。実際、現在の社労士登録者の平均年齢は55.5歳と高く、70歳以上も12.4%と、高齢になっても現役で働く人が多くいます。定年後に開業するケースもあります。40代から始めても十分間に合うことがおわかりいただけるかと思います。
人生100年時代、自身の体力に合わせて長く働けることは大きなメリットと言えるでしょう。
メリット3 今までの経歴が価値になる
社労士の開業では、これまでの経験を活かして専門性を付加できます。たとえば、介護や福祉の仕事をしていた方なら「福祉専門社労士」として活躍できます。業界ごとに、慣習や助成金の種類などが違いますので、業界の経験があり専門性が高い社労士は顧問先の大きな安心につながるのです。過去のキャリアを新しい形で活かせる点も、40代から社労士を目指す大きなメリットです。
「ずっと専業主婦だったから難しいかも」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、専業主婦から一念発起して社労士資格を取得し、開業して成功されている方も多くいます。子育てが少し落ち着いた方であれば、勉強時間の確保がしやすいことは大きな強みになるでしょう。
40代女性に多い悩みと社労士資格の関係
40代になると、老後資金への不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
子どもの教育費や親の介護、そして自分自身の健康や仕事のこと──生活の中で考えるべきお金のテーマが一気に増えていく時期です。
社労士試験で学ぶ内容は、そんな悩みにも直結します。
たとえば、
- 老後の年金制度を深く理解でき、将来の資金計画を自分で立てられる
- 親の介護や医療に関する制度を知ることで、安心してサポートできる
- 自分や家族が病気やけがをしたとき、傷病手当金や労災、障害年金などの支援制度を適切に利用できる
このように、社労士の学びは“試験のための勉強”にとどまらず、自分や家族を守る力になります。
加えて、労働関係の科目で学ぶ内容も、日常の仕事や働き方に役立ちます。
- 自分や家族の働く環境が法律上どう守られているかを理解できる
- 有給休暇や育児・介護の制度など、職場での権利や制度を正しく知り、適切に活用できる
こうした知識は、自分自身の働き方を見直すきっかけとなったり、労働環境を改善する力となったりするでしょう。
資格取得までの道のり
最後に、社労士試験の概要や学習方法について紹介します。
試験概要・合格率
社会保険労務士試験は、年1回(8月下旬頃)実施される国家試験です。
労働・社会保険に関する幅広い知識を問うもので、
午前:選択式試験(80分)
午後:択一式試験(210分)
の日程で行われます。
試験時間の長さも特徴的な試験です。
学習科目としては10科目に分けられますが、試験では図のように振り分けられて実施されます。

択一式、選択式いずれも、総合得点だけでなく、科目ごとにも合格基準点があり、1科目でも基準に届かないと不合格となる点が社労士試験の難しさです。
2025年度の合格率は、5.5%でした。(前年6.9%)
受験資格
受験資格がある方は、大学・短大等を卒業した方、社会保険などに関連する実務経験が3年以上ある方などです。専門の学科の卒業要件はないので、違う職種からチャレンジしやすい試験です。また、厚生労働大臣が指定した国家資格を持つ方にも受験資格があります。行政書士資格も受験資格になるため、高卒の方が、学歴要件のない行政書士資格を取得してから社労士試験にチャレンジする例もあります。
学習方法
合格に必要な学習時間は、約1000時間が目安といわれています。
各科目に合格基準点があるため、苦手科目を作らず、まんべんなく確実に知識を習得する必要があります。そのため、繰り返し学習する必要がありますが、試験範囲が膨大なため、1周学習することができずリタイアしてしまう方も多くいるといわれています。そのような難関試験ですので、資格予備校に通学して学ぶ人も多くいます。
独学や通信講座を利用する場合は、教材選びが特に重要です。「繰り返しの学習に適した教材か」「自分に続けられそうな教材か」「隙間時間にも学習できる教材か」といった観点でそれらをしっかりと比較し選びましょう。
最近ではタブレット端末やスマートフォンで学習できるツールやアプリも存在しています。メイン教材にプラスしてこのようなツールも活用すると、忙しい社会人でも学習時間を確保する助けになるでしょう。
関連資格を先に取得する方法も
社労士試験に関連する資格として、「年金アドバイザー」や「衛生管理者」などがあります。
どちらも、社労士試験に比べると合格を目指しやすい資格です。年金アドバイザーは社労士試験の国年年金法や厚生年金法、衛生管理者は社労士試験の労働安全衛生法や労働基準法の内容と重複するため、社労士試験の土台となります。
また、これらの資格の学習を通して、社労士試験の学習が自分に向いている内容か確かめることもできるでしょう。
このように、社労士資格は簡単に取得できる資格ではありませんが、取得すれば一生有効な国家資格として長く活かすことができます。
40代からでも十分に挑戦できる試験ですので、少しでも「気になる」と思った方は、まずは教材や講座を調べてみてください。思った以上に、自分の経験が活かせる資格かもしれません。