40代以上で転職するときに資格取得で悩んだら、日本語教師の資格への挑戦もおすすめです。

日本語教師とは、私たちが何気なく使っている日本語を外国人へ教える仕事です。日本の文化や生活習慣など、外国人が日本で生きるために必要な知識も伝える、やりがいのある仕事だと言えるでしょう。

この記事では、日本語教師の資格について詳しく解説します。あわせて、日本語教師の仕事内容や年収なども紹介しています。ぜひ転職やリタイア後の仕事を考えるときに参考にしてください。

目次

  1. 40代でも日本語教師になれる?
  2. 日本語教師の仕事内容とは?
    1. 日本語教師の仕事
    2. 日本語教師が働く場所
  3. 40代から日本語教師になるためには?
  4. 「日本語教育能力検定試験」とは?
    1. 受験資格と試験概要
    2. 出題範囲
    3. 難易度はどれくらい?
    4. 日本語教育能力検定試験に向けた勉強方法
  5. 日本語教師の年収は?
  6. 日本語教師として働いた経験がある人の声
    1. 日本語教員資格の取得を目指したきっかけは?
    2. 日本語教員資格の取得にかかった期間や勉強時間は?
    3. 日本語教師の資格を活かしてどのように働いている?
    4. 日本語教師として得られる平均月収はどれくらい?
    5. 日本語教師として最もやりがいを感じることや大変なことは?
    6. 日本語教員の資格を取得すれば年齢問わず転職しやすいと思う?
  7. まとめ

40代でも日本語教師になれる?

日本語教師の資格取得に年齢制限はなく、最終学歴も問われないため、日本語教師を目指す40代以上の人が多くいます。

参照元:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

日本語教師の雇用者数は、50代が最も多く、次いで40代・60代が多くなっています。なお、女性の比率は77%と日本語教師の大半を女性が占めています。

日本語教師は高卒でも目指せる一方で、求人を見ると学歴に対する条件を出していることも少なくありません。40代からのキャリアアップを目指したくても、学歴が足かせとなる可能性もあるでしょう。

しかし、最終学歴で不利に感じても、実際には高卒で日本語教師になった人も多くいます。大学で学ぶ方法以外にも日本語教師になる道はあるため、40代でも日本語教師への道を諦める必要はありません。

日本語教師の仕事内容とは?

日本語教師は、母国語が日本語ではない外国人を対象に、日本語を教える職業です。日本で暮らすために必要な文化などを教えることもあり、幅広い知識が求められます。

ここでは、日本語教師の詳しい仕事内容や、職場について紹介します。日本語教師を目指す際は、ぜひ事前に確認しておきましょう。

日本語教師の仕事

日本語教師は、言葉を教えるだけでなく、日本に関するさまざまな内容を外国人へ教えています。

  • 日本語の発音や読み書き
  • 日本語での会話や文法
  • 日本の文化や歴史
  • 日本人の習慣
  • 日本に住むうえでのマナー
  • 日本の価値観

また、サブカルチャーとして、流行したドラマや音楽などの情報を教えることもあります。

日本語学校には、大学や大学院を目指す進学コースと日常生活や仕事に必要な日本語を学ぶ一般コースなどがあります。担当するクラスによってレベルが異なるため、日本語教師は知識のほかに、教えるスキルも身につけておかなければなりません。

授業では、日本語を読んだり書いたりするだけでなく、会話ができるように話し方や聞き方も教えます。そのためには、教材の用意や授業計画の作成、学生を評価するためのテストの実施などが求められ、多忙な仕事だと言えるでしょう。

日本語教師が働く場所

日本語教師は、以下のような職場で働いています。

日本語教師の就職先 特徴
日本語学校(教室) 日本語の基礎から応用まで教える
クラス形式で授業を実施
多様なカリキュラムを組む必要がある
大学 高度な日本語の運用能力を身につける講義
日本語でのプレゼンテーション技術指導
研究活動にも従事する必要がある
小中学校 日本に移住してきた子どもに授業
学校や日常生活に必要な語学力を指導
日本文化やマナーも教える
一般企業 外国人の社員に日本語を教える
ビジネスシーンに必要な語学力を指導
企業のニーズに合わせたカリキュラムを構築
オンライン講師 通信で学習する外国人に日本語を教える
個別授業で生徒のレベルに合わせた授業
自宅にいながら日本語教師になれる
海外の日本語学校や教育機関 海外で日本語を学びたい外国人に現地で教える
多様な言語能力やコミュニケーション能力が必須
現地の文化や習慣を加味して指導する
海外派遣 公的機関の日本語教師派遣プログラムに参加する
日本語教師として高い能力が求められる
派遣国と日本の友好関係を築く役割を担う

グローバル化が進む近年、国内外の教育機関だけでなく、企業や公的機関など日本語教師が働く場所はさまざまです。

国内や海外で働いたり、オンラインで授業をしたりなど、日本語教師の仕事もグローバル化が進んでいます。そのため、希望する職場で働くためには、世界の国で使われる多くの言語を習得しておく必要があると言えるでしょう。

なお、日本語教師の資格を取得すれば、以下のような働き方の実現にも役立ちます。

  • アプリ開発会社や出版社で教材を開発する
  • 教育関連企業で教材の作成に携わる
  • 日本語教師を養成する学校で講師になる
  • 日本語教師の資格試験対策にかかわる予備校などで講師をする
  • 放送局で外国語放送の制作に携わる
  • 行政や外国の大使館・領事館で働く
  • 日本語学校などで運営スタッフとして働く

日本語教師の資格を活かした仕事は、教壇に立って授業や講義を行うだけではありません。身につける知識やスキルが多い日本語教師は、教育関連以外の業界でも求められる存在だと言えます。

40代から日本語教師になるためには?

国家資格の「登録日本語教員」資格を取得して日本語教師になる場合には、3つの方法があります。

引用:文化庁「登録日本語教員の資格取得ルート」

実は、無資格でも外国人に対して日本語の授業を行うことが可能です。しかし、正式な手続きを経て外国人を受け入れている「認定日本語教育機関」では、国家資格である「登録日本語教員」の資格が必須となります。

登録日本語教員の資格は、需要の拡大を背景に2024年4月から国家資格として導入されました。試験を受ける方法で取得するなら、最終学歴を問わず受験が可能です。

資格を取得すれば、文部科学大臣が認定する登録日本語教員となり、就職先の候補が幅広くなるでしょう。

参照:日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律|第三章 認定日本語教育機関の教員の資格|第一節 登録日本語教員

「日本語教育能力検定試験」とは?

国家資格である登録日本語教員資格取得に必要な実践研修を受けられない人は、民間が実施する日本語教育能力検定試験の受験を検討してみるとよいでしょう。登録日本語教員の資格取得のための試験対策として、まずはこちらの検定を受けてみるのもおすすめです。

日本語教育能力検定試験は、年に1回実施されています。基礎的な知識や能力を検定するため、独学や通信教育で学びながら対策を講じる必要があります。

受験資格と試験概要

日本語教育能力検定試験に、受験資格の制限はありません。誰でも受験できるため、さまざまな人が検定に挑戦しています。

引用:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)

日本語教育能力検定試験は、年1回しか実施されず出題範囲が広いため、受験する際は入念な対策が必要です。令和7年度の試験概要は以下のとおりです。

令和7年度スケジュール 概要
試験日時 令和7年10月26日(日)
オンライン出願期間 令和7年7月1日(火)~7月31日(木)
受験料 17,000円
受験票発送 令和7年9月26日(金)予定
合否結果通知 令和7年12月19日(金)発送予定
試験地区 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州

日本語教育能力検定試験の合格点や足切り点は公開されていませんが、合格圏内は、240点満点中約70%となる165点前後だと推測されています。試験日に照準を合わせ、計画的に勉強時間を確保する必要があります。

出題範囲

日本語教育能力検定試験には3つの科目があり、解答時間や配点、測定内容は以下のとおりです。

科目 解答時間 配点 測定内容
試験Ⅰ 90分 100点 日本語教育の実践につながる基礎的な知識
試験Ⅱ 30分 40点 基礎的な知識・問題解決能力について(音声を媒体とした出題形式)
試験Ⅲ 120分 100点 横断的な設問で、現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力
引用:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)

出題範囲は多岐にわたり、内容詳細を大きく分類すると5つの区分に分けられます。

1. 社会、文化、地域

2. 言語と社会

3. 言語と心理

4. 言語と教育

5. 言語

参照:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)「日本語教育能力検定試験」出題範囲等

受験勉強では、過去問題を繰り返し学習したり、試験範囲を網羅している教材を揃えて取り組んだりすることをおすすめします。

難易度はどれくらい?

過去5年における日本語教育能力検定試験の合格率は以下のとおりです。

引用:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)「令和6年度日本語教育能力検定試験」応募者・全科目受験者・合格者数 推移

合格率の推移をみると、20~25%となっており、難易度は高いと考えられます。

また、令和6年度における日本語教育能力検定試験の平均点について、次のようなデータがあります。

試験区分 平均点 最高点 最低点
総合(240点) 165.2点 230点 135点
試験Ⅰ(100点) 64.0点 98点 13点
試験Ⅱ (40点) 26.1点 39点 9点
試験Ⅲ(100点)
うち
 マーク式(80点)
 記述式(20点)
64.4点

 48.2点
 10.5点
93点

 75点
 19点
43点

 13点
 0点
参考:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)「令和6年度日本語教育能力検定試験」結果の概要

日本語教育能力検定試験の合格難易度が高い原因として、3つの理由が挙げられます。

  • 年に1度しか試験が開催されないことによるプレッシャー
  • 広範囲にわたる試験範囲
  • 音声データによる回答など専門的な試験内容

独学でも受験できる日本語教育能力検定試験ですが、実践的な知識と理論的な知識の両面を磨くためには、独学では相当な努力が必要となるでしょう。

日本語教育能力検定試験に向けた勉強方法

日本語教育能力検定試験に向けて勉強する場合、2つの方法があります。

1. 独学

2. 日本語教育能力検定試験の対策講座を受講

独学は、教材費のみの自己負担で勉強できるため、費用を抑えたい人におすすめです。隙間時間を活用しつつ、インプットとアウトプットを繰り返しながら勉強することが大切です。

日本語教育能力検定試験の対策講座を受講する際は、スクール通学と通信講座があります。スクール通学の場合、受講料の相場は10万円ですが、通信講座なら5万円程度と自己負担を軽減できます。

通信講座は、自宅で勉強できるメリットがある一方で、スクール通学のような対面で早いレスポンスは困難です。ご自身の勉強スタイルに合わせて講座タイプを選ぶようにしましょう。

日本語教師の年収は?

常勤で日本語教師として働いた場合、年収の分布は以下のとおりです。

参考:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

上記から、常勤で働く日本語教師の年収は、200~400万円が平均収入だと考えられます。

ただし、日本語教師の年収は就職先によって異なります。日本語教師として、どこに就職をするか検討するときは、以下の年収を参考にしてください。

就職先の機関 最も多くの割合を占める年収帯
大学など 1,000万円以上
法務省告示校 300~400万円
専修学校・各種学校 300~400万円
地域の日本語教室 300~400万円
その他の日本語教育機関 300~400万円
参考:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

大学で働いた場合、1,000万円以上の年収が期待できます。ただし、国立大学と私立大学では給与体系が異なる場合が多い点に注意が必要です。

日本語教師として働いた経験がある人の声

ここからは、日本語教師のM.YさんとM.Aさん、お二人にインタビューした内容を紹介します。実際に日本語教師として働いている人の声となるので、ぜひ参考にしてください。

日本語教員資格の取得を目指したきっかけは?

【M.Yさん】

大学で英語の教員免許を取得し、国際交流活動をしていました。15年以上、OLとして英会話の教師をしているなかで、日本語を教えることができれば仕事の幅が広がると思ったことがきっかけです。

【M.Aさん】

チェコへの旅行で現地が気に入り、チェコで働きたいと思ったことがきっかけです。50代の友人が海外で日本語教師になったことを思い出し、日本語教師なら今から資格取得を目指せると思い養成講座の受講を決めました。

日本語教員資格の取得にかかった期間や勉強時間は?

【M.Yさん】

6ヶ月間、養成学校のフルタイムコースに通いました。授業は9:00~15:00ですが、授業終了後も教材研究や日本語能力試験の勉強など、集中して勉強しました。

勉強時間は、トータルすると420時間以上かかっています。パワーポイントで教材を作成するため、PCスキルも磨きました。

資格取得後も、1時間/回の授業に対し、教材の作成など授業の準備に最低1時間以上かけながら勉強してきました。

【M.Aさん】

日本語教員養成コースの420時間を、7か月かけて修了しました。1日1~2時間の勉強を毎日コツコツと継続しました。

日本語教師の資格を活かしてどのように働いている?

【M.Yさん】

OLと日本語教師のダブルワークで働けるようになりました。

カフェでマンツーマンのレッスンをしたり、所属する日本語学校で外国人の新入社員に日本語を教えたりなどを3年間経験しました。なかには、大学の交換留学生のサマースクールを担当できる機会など、貴重な体験もあります。

コロナ禍以降、レッスンがオンラインに変化し、PCスキルが大いに役立ったと感じました。

【M.Aさん】

ヨーロッパでは、日本語教師の求人がほぼなく、経験を積むために国内の日本語学校で非常勤講師として働きました。

コロナ禍によって対面授業が困難となり、中国や韓国の大学でオンライン指導を行いました。また、ベトナムで外務省のEPA事業の一環として、日本の介護士を目指すベトナム人への指導経験もあります。

現在は、中国の大学で日本語教師をしています。

日本語教師として得られる平均月収はどれくらい?

【M.Yさん】

副業で日本語教師をしていたので、日本語学校では時給1,500円~1,600円で、週1~2回の授業をしていました。また、個人で教える授業では時給2,000円から3,000円でした。

日本語教師の業界では、フルタイムよりもパートで働く人の方が多く、ダブルワークで働く人も少なくありません。現役を退いた男性の日本語教師も多かったように感じました。パートの日本語教師として働いた場合は、収入が低くなると思います。

【M.Aさん】

月収にすると、月15万円ほどです。

非常勤講師として日本国内で働く場合、授業時間以外で行う採点や授業準備などは、無給となるケースが多くあります。そのため、パートの事務員と同程度の時給となる可能性があると思います。

日本語教師として最もやりがいを感じることや大変なことは?

【M.Yさん】

多くの国の人と出会い、生徒の成長を目の当たりにできることが、一番のやりがいです。授業に対する生徒の反応や、国によって異なる価値観の違いを知り、学ばせてもらいながら働いています。

大変だと思うのは、レッスンの退会やフェードアウト、当日のキャンセルやドタキャンへの対応です。国や年代による捉え方の違いもありますが、ネット社会における希薄な人間関係も影響していると思います。

1時間のレッスンでも、準備や勉強など膨大な時間を要します。そのため、楽しいばかりでなく、苦痛に思う場面があることも確かです。

【M.Aさん】

意欲的な生徒の学習姿勢には、張り合いを感じています。指導したことが生徒の身についていると分かったときは、特にやりがいを感じます。

生徒とは、授業以外でも話す機会が多くあり、文化の違いを伝え合える関係は、日本語教師といえども教えられることが多いです。

苦労だと感じる点は、学生がテストで不正をしたときの対応や、学期末に生徒の評価をつけるのが難しいことです。授業の準備では、不備がないよう入念に対策が必要で、毎回気をつけています。

日本語教員の資格を取得すれば年齢問わず転職しやすいと思う?

【M.Yさん】

日本語教師は、資格を取得すれば、年齢を問わず働ける仕事だと思います。

知人からは、「日本語教師は、リタイア後の仕事というイメージがある」と言われたことがあります。実際、70歳以上の先生も多く、男性はリタイア後の仕事として、日本語教師を選ぶことが多いようです。

40代や50代でも資格を取得しておけば、日本語教師はリタイア後の収入源になると思います。

【M.Aさん】

国内では、日本語教師の求人が多いため、60歳以上でも転職できると思います。しかし、海外での就職は難しい場合があります。たとえば、インドやミャンマーなどでは年齢不問の求人がありますが、年齢が高くなると採用されにくい傾向です。

国内で日本語教師を目指すなら、パワーポイントやPCスキルを磨いておくと、転職に有利です。

まとめ

日本語教師は、40歳以上でも働くことができる仕事です。就職する場所によって収入は異なりますが、国内や海外など自分に合った働き方を実現できる可能性があります。

国家資格である「登録日本語教員」資格取得のための試験も、民間が実施する「日本語教育能力検定試験」も、年齢や最終学歴などは問わず誰でも受験できる一方で、難易度は高めです。どちらも広範囲に及ぶ試験内容への対策を立てつつ、計画的な勉強が求められます。

自己負担額の少ない独学では、実践的で特殊な受験対策が難しい場合もあります。ご自身の合格率を高めるためには、試験対策講座や養成講座の受講なども検討してみてください。