薬局やドラッグストアで、かぜ薬や胃腸薬を購入するとき、商品の説明や注意点などのアドバイスを受けたことがある人は多いことでしょう。

わたしたちが購入することが多い一般用医薬品の販売には、薬剤師や登録販売者の存在が不可欠です。薬剤師や登録販売者は、医薬品の知識を豊富に持っていて、薬の副作用を知るためにも欠かせない存在となっています。

この記事では、登録販売者の仕事内容について解説します。資格試験や難易度、収入についても詳しく紹介しているので、興味がある人はぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 登録販売者は一般用医薬品の販売や説明をおこなう専門職。
  • 資格試験は年1回、誰でも受験できるが合格率は40〜50%。
  • 調剤薬局やドラッグストア、施設併設店などで働ける。
  • 収入は勤務先や形態で異なり、医薬品知識は生活にも役立つ。

目次

  1. 登録販売者の仕事内容とは?
    1. 登録販売者の主な仕事内容
    2. 医薬品の販売以外にも携わることが多い
    3. 薬剤師や調剤事務との違い
  2. 登録販売者の資格試験は難しい?
    1. 登録販売者の試験概要
    2. 資格試験の難易度
    3. 実務経験や販売従事登録も必要?
  3. 登録販売者の資格を持つ人はどれくらいの収入がある?
    1. 登録販売者の月収や年収は?
    2. 勤務先によって異なる登録販売者の収入
  4. 実際に登録販売者として働いた人の声
    1. 登録販売者の資格を取得したきっかけは?
    2. 登録販売者の資格を取得するまでの期間や勉強時間は?
    3. 登録販売者の資格を活かした経験や収入は?
    4. 年齢や経験を問わず登録販売者は転職しやすい?
    5. 登録販売者の資格をおすすめしたい人は?
  5. まとめ

登録販売者の仕事内容とは?

登録販売者は、2006年の薬事法改正によって生まれた資格です。薬局などで一般用医薬品を購入する人に対し、アドバイスや注意点などを説明する役割を担っています。

一般用医薬品を取り扱う店舗が全国的に増え続けている近年、登録販売者を目指す人は増加傾向です。そこで、まずは登録販売者の仕事内容を紹介します。

登録販売者の主な仕事内容

登録販売者は、第二類医薬品や第三類医薬品の販売や情報提供が主な仕事です。

一般用医薬品には、リスクの程度に応じて購入者への情報提供が必要となる場合があります。第二類医薬品は情報提供の努力義務があり、また、第二・第三類医薬品とも購入者からの質問や相談があれば対応することが義務づけられています。

医薬品の販売以外にも携わることが多い

登録販売者の仕事内容は、一般用医薬品の販売や説明だけではありません。働く場所によっては、他の仕事も担うことが多くあります。

調剤薬局とドラッグストアのケースで、登録販売者の仕事を紹介します。

調剤薬局

処方箋を取り扱うことが多い調剤薬局には、薬剤師が在籍していますが、一般用医薬品の販売まではなかなか手が回りません。そこで、医療事務や調剤事務を雇用する際に、登録販売者の資格も保有する人を採用し、一般用医薬品の適切な販売につなげるケースが多くあります。

つまり、調剤薬局で働く登録販売者は、他に保有する資格に応じて携わる仕事の内容が異なると考えられます。一方で、登録販売者の資格だけだと、調剤薬局では雇用されにくい傾向があるとも言えるでしょう。

ドラッグストア

ドラッグストアでは、一般用医薬品だけでなく、日用品や食料品などさまざまな品物を販売しています。登録販売者は、第二類や第三類医薬品の取扱説明だけでなく、レジ業務や棚卸、在庫管理などさまざまな業務を担います。

ドラッグストアで働くスタッフの業務に、登録販売者の業務がプラスされると考えておくと良いでしょう。

薬剤師や調剤事務との違い

登録販売者と類似する資格として、薬剤師や調剤事務があります。これら2つの資格と登録販売者の資格では、業務の範囲も仕事内容も異なります。

それぞれの資格における業務は、以下のとおりです。

業務内容 薬剤師 登録販売者 調剤事務
調剤業務 × ×
医薬品の販売
一般用医薬品すべて

第二類・第三類医薬品のみ
×
調剤報酬の計算 ×

登録販売者は、薬剤師のように調剤業務はできません。薬剤師が行う一般用医薬品に対する説明やアドバイス業務の一部を担っているのが登録販売者です。

また、薬剤師や調剤事務が行う医師の処方箋をもとにしたレセプト業務も、登録販売者には認められていません。なお、登録販売者は病院の会計業務はできませんが、ドラッグストアや医薬品を取り扱うコンビニエンスストアなどでのレジ業務は可能です。

登録販売者の資格試験は難しい?

登録販売者の資格は、一般用医薬品に関する専門資格です。国家資格ではなく、試験は各都道府県で実施されています。

国家資格ではないものの、医薬品について専門的な知識を要することから、厚生労働省「教育訓練給付制度」にも登録販売者の記載があります。そのため、公的資格として考えて間違いないでしょう。

ここでは、登録販売者の試験について紹介します。

登録販売者の試験概要

地域ごとに受験申込日や受験日が異なりますが、試験は1年に1回です。受験を検討している場合は、早めに日程等を確認して対策を進めていくことをおすすめします。

なお、登録販売者の試験を受けるための条件はありません。マークシート方式の試験で、出題範囲は以下の5項目です。出題される内容は、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」で確認できます。

試験項目 問題数 制限時間
医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問 40分
人体の働きと医薬品 20問 40分
主な医薬品とその作用 40問 80分
薬事関係法規・制度 20問 40分
医薬品の適正使用・安全対策 20問 40分

出題範囲が広く、項目ごとの制限時間もあるため、十分な対策をおすすめします。

資格試験の難易度

登録販売者の合格基準として、以下にある2つのポイントを満たす必要があります。

  • 全体で7割以上の得点がある
  • 全ての試験項目において出題数の一定割合以上を正解している

登録販売者の合格率は40%~50%です。参考までに、過去の合格率を紹介します。

参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」

登録販売者の業務と類似する薬剤師は、試験の合格率が60~70%と高くなっています。しかし、薬剤師の試験を受けるためには6年制の薬剤師養成課程を修了していることが必要です。つまり、薬剤師の試験を受ける人は豊富な知識を身につけてから受験するため、高い合格率が維持されていると考えられます。

専門的な分野の知識が必要な薬剤師は合格率が高い一方で、誰でも受験できる登録販売者の合格率は50%以下です。初心者レベルでも受験できるものの、医薬品の専門的知識が必要とされることなどから、合格率が薬剤師より低いと言っても過言ではないでしょう。

薬剤師よりは専門範囲が狭い登録販売者の試験ですが、合格のためには油断することなく万全な対策をしておくことが大切です。

実務経験や販売従事登録も必要?

登録販売者として1人で一般用医薬品の販売をするためには、登録販売者の試験に合格するほかに、販売従事登録をする必要があります。

2023年4月以降、販売従事登録のために求められる実務経験をクリアする方法が3つあります。いずれの方法も直近5年以内における従事が対象です。

1. 従事期間が2年以上
2. 従事期間が1年以上+継続的研修や追加的研修
3. 従事期間が1年以上+過去に店舗管理者や区域管理者としての経験

なお、従事期間を問わず、従事した時間は累計1,920時間以上であることが必要です。

実務経験が不足している場合、登録販売者の資格を取得しても、研修中という扱いになります。研修中は、実務経験を持つ登録販売者や薬剤師の管理下でなければ、一般用医薬品の販売を行えません。

登録販売者としてキャリアアップを目指すなら実務経験を積むこと、不足する場合は率先して追加的研修を受けることをおすすめします。

登録販売者の資格を持つ人はどれくらいの収入がある?

登録販売者の年収や月収は、正社員やパートといった働き方によって異なります。また、働く場所が年収や月収に影響することも少なくありません。

ここでは、登録販売者の年収や月収例を紹介します。

登録販売者の月収や年収は?

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、登録販売者の収入が詳しく公表されていません。しかし、登録販売者の一部が該当している「その他の保健医療従事者」の収入は、月収30万3,600円、年収430万2,200円と公表されています。

また、求人情報を見てみると、正社員は平均月収20万円、平均年収は300~400万円というケースが多いようです。一方、パートの場合は時給900~1,200円が多く、この条件で1日5時間・月20日働いた場合の月収は、9万~12万円となります。年収にすると、108万~144万円程度と計算できます。

ただし、登録販売者として働く人のすべてが、「その他の保健医療従事者」に該当するわけではありません。ドラッグストアやコンビニエンスストアなど、小売店で働いている場合は、「その他の保健医療従事者」の分類とされないケースも多くあります。

勤務先によって異なる登録販売者の収入

登録販売者の資格を保有している人は、さまざまな場所で活躍しています。

  • 調剤薬局
  • ドラッグストア
  • ホームセンターやディスカウントショップ
  • コンビニエンスストア

上記以外にも、製薬会社の営業職や、一般用医薬品のネット販売企業でのオペレーターなど、販売従事登録をしていなくても、登録販売者の知識を活かして働く人は少なくありません。

ここでは、販売従事登録をして働いている登録販売者の収入例を紹介します。

調剤薬局|300~410万円

調剤薬局で働く登録販売者の年収や月収など、給与の相場は以下のとおりです。

調剤薬局で登録販売者としてパート勤務する場合、思っているより低い年収となる可能性があります。調剤薬局は、付近の医療機関に合わせて営業していることが多く、年間休日が多いことがその一因です。

平日に働きたい人にとってはメリットのある調剤薬局勤務ですが、週末や祝日を中心に働きたい人にはおすすめできません。また、年収は調剤薬局ごとの違いや地域格差も影響すると考えられます。

ドラッグストア|290~380万円

ドラッグストアで登録販売者として働く場合、以下の収入を目安にしておくと良いでしょう。

登録販売者が最も選びやすい就職先がドラッグストアですが、レジ業務や棚卸なども業務範囲に含まれることが多くあります。

一般的に、ドラッグストアは休日も営業していることが多くあります。そのため、勤務体制によっては日中や夜間など、希望する時間帯に働きやすいと言えるでしょう。また、ドラッグストアには調剤薬局よりもスタッフが多いため、希望日に休日を取得しやすいというメリットもあります。

施設や店舗併設の販売店|270~390万円

一般用医薬品は、さまざまな施設に併設された販売店でも取り扱われています。

  • ホームセンター
  • ディスカウントショップ
  • スーパー

上記で働いた場合、登録販売者は以下のような収入を目安にしてみてください。

店舗に併設されている場合、少人数で担当することが多くあります。そのため、働く日数が多くなりやすく、それに応じて年収も高くなりやすい傾向です。

ただし、少人数制の勤務は休みを取得しにくいというデメリットにもなります。子育てや介護で融通の利く職場を探している人にとっては、厳しい場合があります。

勤務先を探す際には、営業時間や定休日なども考慮し、働きやすい環境の店舗を見つけることが大切です。

コンビニエンスストア|300~450万円

一般用医薬品は、コンビニエンスストアでも販売されている場合があります。通常のコンビニエンスストア業務全般をこなしながら、登録販売者としての業務も行うため、同じパート勤務の人より高い収入が期待できます。

ただし、2025年5月14日に成立した薬機法改正案に注意が必要です。登録販売者が不在のコンビニエンスストアでも、薬局に在籍している薬剤師がオンラインで説明することで、一般用医薬品を取り扱えるようになることが決定しました。

この新しい薬機法は、今後段階的に施行されていく予定です。そのため、コンビニオーナーの考え方によっては、登録販売者の採用を取りやめるところも出てくるかもしれません。

実際に登録販売者として働いた人の声

ここでは、実際に登録販売者として働いたM.Kさんへのインタビュー内容を紹介します。

登録販売者の資格を取得したきっかけは?

もともとパートとして調剤薬局で働いており、「登録販売者の資格を取得すれば時給が上がる」と言われたことがきっかけです。

調剤薬局で働いているなかで、薬の成分に興味があったことも、きっかけの1つです。また、家族の体調不良時に、適切な医薬品を購入できることにもメリットを感じました。

登録販売者の資格を取得するまでの期間や勉強時間は?

登録販売者の試験までに、半年ほど勉強しました。

当時は1年以上の勤務経験が受験要件にあり、働きながら受験勉強をしていました。勉強時間は、平日2時間、休日3~4時間程度です。

薬の成分名を覚えなければならず、暗記用の本やノートを持ち歩いて隙間時間に勉強し、一発合格できたのは嬉しかったです。

登録販売者の資格を活かした経験や収入は?

登録販売者の資格を取得したあとも、調剤薬局に勤務しました。

薬局内で第二・三類医薬品も販売していたため、多忙な薬剤師に代わって医薬品の説明を行っていました。調剤薬局の業務もあったので、兼任しながらの仕事です。

宅地内の小さな薬局では、処方箋を持参される方だけでなく、一般用医薬品を買い求める人も多くいます。

1ヶ月あたりの収入は、パート勤務で約7万円ほどでした。しかし、地域に密着した仕事に携わることができたので、資格を取得して良かったと思っています。

年齢や経験を問わず登録販売者は転職しやすい?

登録販売者の求人はドラッグストアが大半を占めています。ドラッグストアの店舗数や営業時間から考えると、登録販売者は年齢にかかわらず転職しやすいと考えられます。

また、ドラッグストアは先輩から教わる環境が整えられている可能性が高いことも、未経験の方にとっては大きなメリットです。知識とともに実務経験が加われば、自信やキャリアアップにつながると思います。

私のように調剤薬局に勤務すれば、薬剤師に教えてもらいながら業務に携われるため、より詳しい知識を得る経験ができます。

登録販売者の資格をおすすめしたい人は?

ドラッグストアで働きたい人には、登録販売者の資格がおすすめです。希望する勤務形態を選びやすいという魅力があります。

また、医薬品の知識があれば、家族の体調不良時にも役立つため、家族の健康管理を重視したい人にもおすすめできる資格です。

医薬品は日進月歩で、常に新しい商品が開発されています。そのため、登録販売者は商品の勉強が欠かせません。楽しみながら勉強を続けていける人には、向いている資格だと思います。

まとめ

登録販売者は、かぜ薬や解熱鎮痛剤など、一般用医薬品のうち第二・三類医薬品を買い求める人への販売や説明が主な仕事です。調剤薬局やドラッグストアだけでなく、施設に併設する店舗やコンビニエンスストアなど、就職先は多岐にわたります。

ただし、登録販売者として働くためには資格を取得する必要があり、試験は1年に1回しかありません。受験のための条件はなく、誰でも受験が可能である一方で、合格率は毎年40~50%と難易度が高く、計画的な勉強が大切です。また、登録販売者の資格を取得後も、常に知識のバージョンアップが求められます。

登録販売者は、医薬品に興味がある人や、勉強が苦にならない人にはおすすめの資格です。医薬品の知識は家族の健康管理にもつながるため、収入を得るためだけでなく、身近で役立つ資格だと言えるでしょう。