この記事でわかること
- ポータブルスキルとは、職場や業界を超えて持ち運びできる汎用性の高いスキルのこと。
- 終身雇用の崩壊、ビジネスモデルの変化により、どの仕事にも通用するスキルが求められる時代になっている。
- 代表的なスキルは、コミュニケーションスキル、ライティングスキル、タイムマネジメント力、思考力、会計スキル。
現代の労働環境において、自分のキャリアを柔軟にするために欠かせないのが、ポータブルスキルです。ポータブルスキルは、業界や職種を問わずどこでも活用でき、職場が変わっても持ち運びできます。この記事では、ポータブルスキルとは何か、ポータブルスキルの重要性や具体的な代表例、効果的な習得方法について紹介します。ぜひ参考にしてください。
ポータブルスキルとは
ポータブルスキルという言葉を初めて聞く人もいるかもしれませんが、現代社会で働くうえで非常に重要なスキルです。ここでは、ポータブルスキルの基本的な概念、なぜ必要なのか、他のスキルとの違いについて詳しく解説します。
ポータブルスキルって何?
ポータブルスキルとは、職場や業界を超えて持ち運びできる汎用性の高いスキルのことです。特定の仕事や会社に依存せず、どこでも活用できるスキルを指します。コミュニケーション力や問題解決力などは、どの職場でも求められ、持っていることで応用がききます。
ポータブルスキルの重要性は年々増しており、政府もポータブルスキルの普及を推奨しています。厚生労働省が提供する「ポータブルスキル見える化ツール」を活用することで、自身のスキルを明確にし、自己成長の方向性を確認することが可能です。

【参考】
ポータブルスキル見える化ツール(厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag)
ポータブルスキルとテクニカルスキルは、一見すると似ているようですが、実際には大きく異なります。テクニカルスキルとは、特定の業務をおこなうために必要な専門的知識や技術、資格を指します。たとえば、プログラミングやCAD設計などは、専門的なトレーニングを受けて身につくスキルです。履歴書に具体的に記載できるのも、テクニカルスキルの特徴です。
一方、ポータブルスキルは特定の業務に縛られることなく、汎用性が高くどの職場でも活かせます。幅広い状況で役立ち、長期的にキャリアを支える力になります。
アンポータブルスキルとの違い
ポータブルスキルの対極にあるのが、アンポータブルスキルです。アンポータブルスキルとは、特定の職務や職場でのみ発揮できるスキルで、他の職場へは持ち運ぶことができません。特定の会社でしか使われていないツールの操作方法や、会社独自のノウハウなどが該当します。
アンポータブルスキルはネガティブに捉えられがちですが、実際はそのスキルが特殊であればあるほど、職場では高い価値があります。しかし、転職やキャリアチェンジを考えるときには、より多くの場面で活用できるポータブルスキルが重要です。
ポータブルスキルが必要な理由
ポータブルスキルは、キャリア形成において重要な役割を果たしています。ポータブルスキルを持つことで、どんな職場でも力を発揮することが可能です。ここでは、ポータブルスキルがなぜ重要なのか、その背景と具体的な理由について解説します。
転職力が必要とされる時代
近年、終身雇用の崩壊により転職する人が増加し、人材の流動化が進んでいます。また、企業やビジネスモデルの短命化が進んだことも相まって、ひとつの職場に長く留まることが難しくなっているのです。そのため、職業人生が40年以上になることを考えると、長期間にわたって活用できるスキルが求められます。
業界を問わず活用できるポータブルスキルは、転職時にとても有利です。コミュニケーションスキルやタイムマネジメントスキルは、どの職種でも求められるため、転職市場での競争力を高めることができます。
どこでも活躍できる可能性が高い
ポータブルスキルは、ライフスタイルの変化に対応できるスキルです。業界や職種を超えて活躍できます。特に、労働者自身が主体的・自律的にキャリアを形成していくことへの関心が高まっている現代において、ポータブルスキルはますます重要になっています。
たとえば、家庭の事情で転職する場合にも、ポータブルスキルがあれば、どんな状況でも自分の能力を発揮できるでしょう。どの職場でも即戦力として活躍できるチャンスが広がります。
実践的なポータブルスキルの代表例
ポータブルスキルは、さまざまな業界や職種で活用できるスキルです。特にフリーランスやキャリアの幅を広げたい人には欠かせません。ここでは、5つの実践的なポータブルスキルを具体的に解説します。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、仕事の質を大きく左右するポータブルスキルです。優れたコミュニケーションスキルを持つことで、相手との関係を良好に保ち、円滑に業務が遂行できます。また、チームワークやリーダーシップを発揮するためにも、コミュニケーションスキルは欠かせません。
チームワークでは、メンバー同士のスムーズな意思疎通が求められます。 全員が同じ方向を向いて効率的に作業を進めることで、ミスやトラブルを未然に防ぐことができます。特に、リーダーシップを発揮するときにも、コミュニケーションスキルは重要です。メンバーとの信頼関係を築きながら、共通の目標に向かってチームをまとめる力が求められます。
ミドルエイジの女性は、職場やPTAなどさまざまな人々と関わってきた経験により、対人関係のスキルが高い傾向があります。豊富な経験を活かして、どんな環境でもスムーズなコミュニケーションをとることで、仕事が円滑に進められるでしょう。
ライティングスキル
ライティングスキルは、どの業界でも活用できるポータブルスキルのひとつです。文章力は、記事を書くためだけでなく、メールやチャットなど日常的なコミュニケーション手段としても重要です。特にフリーランスとして仕事をする場合、クライアントとのやり取りはほとんどテキストベースになります。文字でのコミュニケーションは、情報伝達ミスを防ぐことができ、電話と違って好きなタイミングで返信することができます。相手の時間を奪うことなくやり取りができるため、現代のビジネスシーンにおいてライティングスキルは欠かせません。
また、タイピングスキルもライティングスキルの一部といえます。迅速かつ正確に文章を入力する能力は、効率的に仕事を進めるうえで重要です。
タイムマネジメント力
効率的な時間管理術であるタイムマネジメントスキルは、特に主婦や家庭を持つ人にとって重要です。限られた業務時間内で最大の成果を上げるためには、優先順位付けが不可欠です。タイムマネジメントスキルを持っていると、仕事とプライベートのバランスを取りながら、効率的に業務を進めることができます。
また、タイムマネジメントスキルは、複数のプロジェクトを同時に進めるときにも役立ちます。スケジュールをしっかり管理することで、納期に遅れることなく質の高い仕事ができるのです。
40代からのミドルエイジは、職場や家庭でのさまざまなタスクをこなしてきた経験から、優れたタイムマネジメントスキルを持っています。このスキルを活かすことで、新しいプロジェクトにもスムーズに取り組んでいけるでしょう。
思考力
思考力は、問題解決能力を高めるためのポータブルスキルです。現状を把握し、課題を設定し、その解決策を見つけるスキルは、どの職場でも重宝されます。特に、仮説思考やクリティカルシンキングは、論理的な思考を構築するうえで重要になります。
仮説思考とは、現状から考えられる解決策をいくつか予測し、それを試してみる方法です。一方、クリティカルシンキングは、情報をよく調べて、どの情報が正しいかを判断する力です。これらのスキルを高めることで、問題をより効率的に解決できるようになります。
会計スキル
会計スキルもまた、どの業界でも活用できるポータブルスキルです。簿記3級程度の知識があれば、転職先の経営状態を判断することができ、自分の仕事の収益性を把握するときにも役立ちます。
会計スキルがあると、フリーランスとして働くときに青色申告ができ、節税効果を最大限に引き出すことができます。フリーランスは、自分のビジネスをしっかりと管理することが重要です。健全な経営状態を維持するためには、基本的な会計スキルが不可欠です。
ポータブルスキルを習得するための具体的な方法
ポータブルスキルを効率的に身につけるためには、さまざまな学習方法を取り入れることが重要です。ここでは、書籍、動画、ビジネススクールといった具体的な手段を紹介します。自分に合った学習スタイルを見つけてくださいね。
書籍
ポータブルスキルを習得するための手軽で効果的な方法のひとつが、書籍を活用することです。ビジネス書や専門書を読むことで、理論的に知識を身につけられます。
書籍は時間や場所に縛られずに学べるため、忙しい現代人にとって欠かせない学習ツールです。特に、通勤時間や就寝前、家事の合間などのスキマ時間を利用して、効率的にスキルを磨くことができます。
動画
YouTubeやその他の無料学習プラットフォームで、手軽にポータブルスキルを習得することができます。動画コンテンツは、視覚と聴覚を使って学習できるため、理解度が高くなるのが特徴です。また、実際の業務シーンに即した解説が多いので、実践的なスキルを短期間で身につけられます。
さらに、動画学習は自分のペースで進められるため、忙しい日常の中でも無理なくスキルアップが可能です。特定のスキルに特化したチャンネルをフォローすることで、継続的に最新の情報をキャッチできる点も魅力です。
ビジネススクール
実践レベルでポータブルスキルを鍛えたい場合、ビジネススクールに通うのもおすすめです。ビジネススクールでは、専門の講師から直接指導を受けることができ、実際のビジネスシーンで役立つスキルを体系的に学べます。
スクールによっては、説明会や体験会が定期的に開催されています。実際に申し込む前に、説明会に参加して自分に合ったスクールを見つけることが重要です。
まとめ
ポータブルスキルは、現代のキャリア形成において欠かせません。業界や職種を問わず、どの職場でも通用する汎用性の高いスキルです。代表的なポータブルスキルは、コミュニケーションスキル、ライティングスキル、タイムマネジメント力、思考力、会計スキルです。ポータブルスキルを身につけることで、フリーランス市場での競争力を高め、どんな環境でも力を発揮できるようになります。フリーランスとして働くことを考えているなら、ポータブルスキルを習得することがおすすめです。