
40代は子どもの自立や受験、自身や親の健康状態など、暮らしやお金の面でさまざまな変化が訪れる時期です。そのような環境の変化に応じて、長期離職からの再就業やキャリアチェンジを考える女性も多いのではないでしょうか。
このインタビューでは、年齢に関わらず自らの意思で仕事や働き方を選択している女性をロールモデルとして、40代以降の女性が新たな一歩を踏み出すためのヒントを探ります。
今回は、フリーランス(個人事業主)として複数の企業に参画し、営業や事業開発などに取り組む小野千春さんにお話を聞きました
━━ まずは現在の仕事や働き方について教えてください。
個人事業主として、基本的にはフルリモートで働ける仕事をしています。
スタートアップベンチャーと呼ばれる創業間もない企業やこれから創業する企業に所属することが多く、ゼロイチフェーズの仕事に多く関わってきました。
現在は複数の企業に在籍し主に営業や事業開発をしています。
結婚・出産を機に、やりがいを感じていた仕事から離れることに
━━ もともとキャリアのスタートはどのような形でしたか。
大学卒業後に大手流通会社の本部に入りました。そこでは総合職として経営企画など様々な業務を経験しました。
中でもバイヤー職として関わった商品開発の仕事にやりがいを感じていましたが、社内結婚をきっかけに異動することになり、出産のタイミングで退職しました。
その後は2人の子育てを中心に主婦をしていました。
再就業のきっかけは習いごと
━━ 離職を経験され、どのように再就業されたのでしょうか。
子どもが成長して少し手が離れた頃、お友達に誘われてフラワーアレンジメント教室に通ったのですが、趣味で習っていたらおもしろくなって資格を取りました。
すると、その教室から「助手をしてほしい」と言われ、子どもが幼稚園に行っている間にアルバイトで入ることになりました。
離職して社会からの疎外感を感じていたこともあり、そのまま開業して、子育てをしながらできる範囲で、お花の販売やアレンジメントの先生を始めました。
日曜日にマルシェに出たり、ECサイトで販売したり、子ども教室で教えたり、30代後半はそんな働き方をしていました。

ゆるやかにキャリアがつながり、パラレルキャリアへ
40才になる頃「40代は仕事をしたい」と思うようになりました。ちょうど地元のNPOが立ち上げメンバーとしてボランティアのライターを募集していて、おもしろそうだなと思って参加しました。
そのうち運営スタッフとして声がかかり、お花の先生と二足の草鞋になりました。
さらに、NPOのメンバーが起業するということで、誘われて三足目になりました。
創業まもない会社だったので、事業を創ることに貢献する充実感や達成感がありました。
もともと責任のある仕事を任されたいというかなりアグレッシブなタイプなので、やりがいのある仕事で本来の自分を取り戻すことができた気がしています。
このように、途切れ途切れで転職をしていったのではなく、紹介や偶然の出会いからゆるやかにキャリアがつながっていきました。そこはすごく恵まれていたと思います。
そのベンチャー企業での仕事が忙しくなり、しばらくそこを中心とした働き方が続いて一時は正社員にもなりましたが、ある程度組織が落ち着いたタイミングで自分の5年後10年後を考えて、今のパラレルキャリアとしての働き方になりました。40代後半です。
私らしく働くことを諦めず、チャンスを逃さないようにしよう
━━ 小野さんのお話を聞いていると、変化や新しい挑戦に対する不安がなかったように感じます。
なかったです。なかったというよりもそれを求めていました。
もともと常に変化を求めるタイプです。また、魅力ある仕事に就いて熱中したい、社会貢献したいと思っていました。
ただ、一旦社会から離れるとそこに戻るのは大変で、30代後半からキャリアロスがある人を雇う会社もない。仕事の仕方も変わっています。
でも私らしく働くことを諦めきれなくて、コツコツ実績を積んで、チャンスが来たタイミングを逃さないようにしようという気持ちがずっとありました。

━━ 紹介や偶然をきっかけにキャリアがつながっていったというお話もありましたが、仕事や働き方を選択する中で大切にされている軸はありますか?
業務内容よりも社会や誰かに貢献できる仕事かといった想いの部分を大事にしています。
私自身が社内結婚をきっかけに女性という理由で意図しない異動になったという経験もあり、ずっと「多様性に応じたフェアな働き方ができる世の中にしたい」という想いがあります。
お仕事を選ぶ時も、子どもがいるとか、地方にいるとか、働く上での条件があっても好きなように働く人を増やしたいという私が思い描いているミッションを叶えられるかという観点で選んでいます。
━━ フルリモートの仕事をメインにされているのも同じような理由があるのでしょうか。
もともとは子どもとの時間を確保しなければいけなかったという理由がありました。
今は、群馬県にいながら都市部のベンチャー企業に参画してさまざまな仕事ができることや、働き方に柔軟な組織に携わりたいという理由から選択しています。
