
お子さんの急な体調不良は、働くママにとって、仕事の継続に影響していく大きな問題ですよね。
今回お話を伺ったS・Mさんは、憧れの「食」の仕事に就き、正社員として10年間勤務してキャリアを積み重ねました。
出産後に職場復帰するも、お子さんの急な発熱に翻弄されます。その後もお熱問題は続き、新しいお仕事も断念。
しかし、今は小学校の給食調理員として、ご家族との時間を満喫できる働き方にシフトしています。
そんなS・Mさんの仕事優先、給与重視では叶えられない、豊かな生活の「今」を伺いました。
お子さんの生活スタイルに合わせて働ける給食調理員として、活躍中!
━━現在のお仕事内容について教えてください。
現在の仕事は小学校の給食調理員(パート)を中心に働いています。
仕事内容は、社員さんが煮たり焼いたりといったメインの調理を担当し、パートは食器の準備や大釜で作った料理をクラスに運ぶための食缶やバットなどに分ける配缶(補助)、野菜のカット、ハンバーグの成形や春巻きを巻くなど、多岐にわたります。
やりがいとしては、チームワークがとても良いので、楽しくやっています。また、食材に触れられるのも嬉しいです。お料理が好きでずっと「食」にかかわる仕事をしていたので。
ただ、正直に言うと、仕事内容自体が「これがすごく楽しい」というよりも、「日々の生活上のバランスが良い」という点に最も満足しています。
━━このお仕事は、いつから始められたのですか?
2025年2月からで、まだ1年たっていません。
実は、これまでに何度か働き方を変えていて、現在の小学校給食調理員に行き着いたのは、「子育てとのバランス」が一番の理由です。
以前は、保育園の調理員として約1年働いていました。しかし、保育園は夏休みなどの長期休みも稼働しているので、上の子が小学生になったときに「学童問題」に直面しまして。夏休み期間の学童利用は、低学年の子どもにとって負担が大きく、「学童に行きたくない」となってしまいました。そこで、子どものお休みや行事などと合わせられる今の働き方が、子育てとのバランスを保つ上で最も良い形となりました。
━━給食のお仕事の他に、個人事業主としてもお仕事をされているとのことですが、具体的にはどのようなお仕事ですか?
クラウドソーシングサイト「キャリア・マム」の食卓調査(料理の写真を送る)や、知り合いに頼まれて料理を作ったりといった業務を請け負っています。

憧れだった「食」の仕事に就いてキャリアをスタート。
━━以前から「食」にかかわるお仕事をされていたとのことですが、大学を卒業されてからのキャリアを教えてください。
はい。料理が昔からすごく好きで、学生時代は家政学部の栄養系の学部で学んでいました。卒業後は、新卒で業務用厨房機器商社に正社員として入社し、約10年間勤務しました。
━━まさに「食のプロフェッショナル」ですね。そのお仕事のやりがいはどんな点でしたか?
「いろいろな人と出会えたこと」と「商品開発に携われたこと」は大きかったです。
全国のレストランの方々と調理法や機器の活用について話し合ったり、食の知識を深められたりしたのは本当に楽しかったです。特に、自社オーブンを使った新商品開発のプロジェクトに参加させてもらい、自分の提案が採用されたときは非常に嬉しかったですね。
正社員復帰も、料理教室講師も「子どもの発熱問題」に翻弄されて、安定しない収入。
━━10年間勤めた会社を辞められたきっかけは何でしたか?
出産後、育休が明けて一度は会社に復職したのですが、「出張ができないこと」と「子どもの急な発熱による休み」が続き、職場のメンバーに迷惑をかけてしまうことが心苦しくなりました。
その他にも、子育てなどで時短社員になると時給制に変わりました。祝日や長期休暇のある日は、給与が大幅に減ってしまって。有給を使い切ると、手取りが6万円になる月もあり、責任だけは残る割に収入は安定せず、心残りではありましたが退職を決意しました。
━━それは大変でしたね。退職後はすぐに次のお仕事をされたのですか?
はい、退職後すぐに個人事業主として開業し、割と大手の料理教室の講師を業務委託で始めました。
━━料理教室の講師は、時間の自由が利きそうですね。
週5日間の間で、うまく自分で組んで対応できると思ったんですけど、これも「子どもの発熱問題」でうまくいきませんでした。レッスン当日に子どもが熱を出すと、代わりの講師を探したり、すべて引き継いだりする手間がかかります。
また、料理教室は集客の関係で夜や土日にレッスンが集中します。子育て中の私が対応できる日中のレッスンは単価が安く、思うように稼げませんでした。結局、この仕事は3カ月ほどで断念しました。
その後、安定した収入源を探し、保育園の調理員(パート)をして、今の小学校給食調理員に落ち着いたという流れです。

給与は下がったが、家族と過ごすかけがえのない夏休みを満喫できた。
━━現在の小学校給食調理員の週の稼働日数やお給料について伺ってもよろしいですか?
稼働は、週3日勤務、時間は9時から15時まで(実働6時間)です。残業はありますが、多くても15時半~16時まで。時給は1200円なので、月収にすると、手取りでおよそ8万5千円~9万円くらいでしょうか。
━━保育園の調理員時代と比べると、収入は減ってしまったのでしょうか?
そうですね。保育園の時は、同じ週3日勤務でも通年で8時半から16時まで(朝のおやつと夕方のおやつがあるため)と勤務時間が長く、時給も同じく1,200円だったので、月収は9万~10万円と、今より少し多かったです。
小学校給食の仕事は、夏休みなどが全て休みになるため、年収ベースでは落ちています。7月や8月は、勤務日数が少ないため、給与が1万3千円程度と大幅に下がる月もあります。年収ベースでは、10万~20万円ほど下がっている計算になります。
しかし、保育園の仕事のために、長期休みに学童に預けるには、お弁当が必要でした。今よりプラス40分早く起きて準備しなければいけないし、先にお話ししたように、長時間の学童になじめず大変でした。
今年は、給与こそ下がりましたが、家族で夏を満喫することができました。それは、お金には代えがたいですね。

今の仕事でつかんだ、子どもとの充実した時間。
━━S・Mさんのお仕事の日の1日のタイムスケジュールを教えてください。
6:30に起きて、次男を保育園に送りながら職場に行き、9:00から仕事開始です。15:00に仕事終了後、子ども達のお迎えや習い事、公園遊びなどで過ごし18:00に帰宅。そこから、夕食、寝かしつけなどをこなし22:30にようやく自分の時間のスタートです。この時間で仕事の情報を探したり、ゆっくりネットを見たりして25:00(1:00)に就寝します。
━━25:00(1:00)に就寝なんですか?かなりハードな生活ですね。
本当はもっと早く寝た方がいいなと思うんですけどね。子供が22:00くらい前には寝ないんです。21:00にベッドに入り、ずっと寝たふりをして付き添います(笑)。そして、ようやく訪れる22:30からの自分の時間は大切にしていますね。

「食」の仕事で新たに目指す、将来のキャリアプランとは?
━━今後目指していきたいキャリアや目標について教えてください。
今考えているキャリアとしては、「栄養士の資格を取得して、正社員復帰する」か「料理講師としてのキャリアを再開すること」の2つを考えています。
2〜3年後には下の子が小学校に上がり、少し手が離れます。そのタイミングで「栄養士の資格」を職業訓練校に通って取得したいと考えています。大学時代に食品メーカーへの就職を考えて、あえて管理栄養士ではないコースを選んでしまったのですが、今思えば栄養士の資格を取っておけばよかったと後悔していまして。資格を取得し、家の近くの保育園や施設で正社員の栄養士として働くのが、ライフバランス的にもよいのではないかと思っています。
そして、もう一つは、料理教室の講師です。以前は短期間で断念しましたが、仕事自体は楽しかったので、子どもの手が離れたら、「もう一度、料理講師の仕事に全力で取り組みたい!」と思っています。
━━栄養士の資格を取得するまでの「準備期間」として、今考えていることはありますか?
職業訓練に通う期間は収入がゼロになってしまいます。その間の収入を補填するために、現在、業務委託でやっている在宅の仕事にもう少し力を入れて、安定した収入の基盤を作りたいと考えています。
子どもの成長は早い、私の働く時間はまた必ずやって来る!
━━最後に、今、働き方や仕事を変えたいと考えている人にメッセージをお願いします。
私は今の働き方に変えていることに、全く後悔していません。もちろん、収入は減り、仕事のやりがいをすぐに答えられない場面もありましたが、「今しかない子どもたちとの時間」を、仕事とバランスよく取れていることに心から満足しています。
子どもの成長は早いです。今は私を一番必要としてくれている時期なので、子ども優先の生活をしていますが、子どもは必ず育ちます。そのときには、私の働く時間はまた必ず来ます。
特に、私のいる「食」の業界は、人手不足でいつでもウェルカムな業界です。業界にもよりますが、意外と勇気を出して、働き方を変えてみるのは「あり」ではないでしょうか。
その後の目標や計画を立てておけば、必ずまた仕事に打ち込める機会はあると信じています!
