今や職業の一つとして定着した「YouTuber」。この記事をご覧になっている方の中にも、すでにYouTubeで好きなことや得意なことを配信している、または、これからYouTubeを始めてみたいと考えている方がいるのではないでしょうか。

そこで気になるのが、「YouTubeでの収益にかかる税金」です。YouTubeで収益を得た場合、年収いくらから税金がかかるのでしょうか。今回は、YouTubeで収益がある場合いくらから税金がかかるのか、また、YouTubeで経費になる範囲、稼ぐためのポイントや注意点を解説します。

-この記事でわかること-

  • YouTuberを本業でやるか副業でやるかによって税金が発生するタイミングは異なる
  • YouTuberでも経費になる基準は他の職業と変わらない
  • YouTubeで稼ぐには、配信する動画のジャンルを絞り、動画撮影や編集のスキルを身に付ける

目次

  1. YouTubeで収入がある場合、年収いくらから税金が発生する?
    1. YouTuberを個人事業主として本業にしている場合
    2. 事務所に所属してYouTuberをやっている場合
    3. 副業でYouTuberをやっている場合
    4. 専業主婦(主夫)がYouTubeで収入を得た場合
  2. YouTubeでは何が経費になる?
  3. YouTuberの副業をする際の注意点、稼ぐためのポイントは
    1. 副業でYouTuberをする際の注意点
    2. YouTubeで稼ぐためのポイント
  4. YouTubeで一定額を超えて稼いだら、税金がかかる

YouTubeで収入がある場合、年収いくらから税金が発生する?

近頃は、YouTubeであらゆるジャンルの動画が配信されています。また、YouTuberを生業とする人だけでなく、会社員や主婦など、さまざまな職業の人が副業としてYouTubeを行うようにもなりました。では、YouTubeで収入がある場合、年収にしていくらから税金がかかるのでしょうか。さまざまなケースでまとめてみました。

<YouTuberとして税金が発生するタイミング>

YouTuberの活動形態 税金が発生するタイミング
個人事業主として本業で行う場合 年収48万円を超えたら
事務所に所属する場合 年収103万円を超えたら
副業で行う場合 副業所得が年間20万円を超えたら
専業主婦(主夫)が行う場合 年収48万円を超えたら

YouTuberを個人事業主として本業にしている場合

本業でYouTuberをしている場合、そこで得る収入は「事業所得」となり、1年間の所得が48万円を超えた場合は確定申告の義務が生じます。ただし、所得は「収入-経費」で計算しますので、YouTuberとして収入を得るためにかかった経費を差し引いた金額が48万円以下であれば確定申告は必要ありません。

確定申告では、所得税額を計算する際に所得金額から「所得控除」を差し引くことができます。その中の一つに、全ての人に適用される「基礎控除」があります。基礎控除は、年間の所得額によって金額が変動しますが、所得額が2,400万円以下なら48万円が控除されます。

所得が48万円以下の場合は基礎控除を差し引いた時の課税所得が0円になりますので、所得税が発生せず、確定申告は必要なくなるのです。

事務所に所属してYouTuberをやっている場合

YouTubeで動画配信している人の中には、YouTuberのマネジメントをしてくれる事務所に所属して活動しているケースもあります。事務所と雇用契約を結び、「給料」という形で報酬を受け取っている場合、年収103万円から所得税が発生します。

この場合、会社が天引きで代わりに税金を納めてくれますので、基本的にはYouTuberが確定申告をする必要はありません。しかし、収入が年間2,000万円を超える場合は確定申告の義務が生じます。

副業でYouTuberをやっている場合

会社員が副業でYouTuberをやる場合、YouTubeから得られる所得は「雑所得」となります。また、副業所得が年間20万円を超える場合は、確定申告にて所得税の申告と納税が必要です。ただし、先ほどもあったように、所得は「収入-経費」で計算しますので、経費を引いた後の副業所得が年間20万円以下の場合、確定申告は必要ありません。

なお、所得税の確定申告は不要でも、雑所得が1円でも発生したら、市区町村に対して住民税の申告が必要ですので注意しましょう。

専業主婦(主夫)がYouTubeで収入を得た場合

専業主婦(主夫)のように、収入がなく配偶者に扶養されている場合でも、YouTubeで一定の金額を稼いだら、税金が発生し確定申告を行わなければなりません。

YouTubeで収益を得た場合、収益が年間48万円を超えると所得税が発生します。パート勤務などの場合、この所得税が発生するタイミングは「年収103万円の壁」と呼ばれています(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)。しかし、自分で仕事をする場合は給与所得控除が適用されないため、基礎控除48万円が所得税の発生するボーダーラインとなるのです。

なお、先ほどもあったように、雑所得が1円でも発生した場合は、確定申告をしなくても住民税の申告が必要です。

YouTubeでは何が経費になる?

YouTuberは特殊な職業と思われがちですが、YouTubeで経費になる基準は他の職業と同じです。基本的な考え方として、事業と関係のある支出は経費としてカウントできますが、無関係の支出は経費にはできません。

YouTubeで経費にできるのは、主に以下のようなものです。

・撮影に使う機材
・通信費
・旅費交通費
・会議費
・交際費
・消耗品費
・衣装代
・広告宣伝費
・外注費
・場所にかかる費用

YouTube動画を撮影するには、撮影機材のほか衣装や小道具、撮影のための場所、動画を編集するためのパソコンやソフトなどさまざまなものが必要です。これらの購入費用は、経費として計上することができます。

ただし、経費に計上するには注意点もあります。たとえば、取得価額10万円以上、かつ耐用年数1年以上の撮影機材は、資産扱いとなり「減価償却」しなければならない点です。減価償却とは、使用し続ける資産の消耗を考え、現在価値を示すことです。具体的には、取得にかかった費用を、資産ごとに決まっている「法定耐用年数」で割ることによって、各年度における適切な金額を費用とします。

ごく簡単な例を挙げると、動画撮影のため100万円の機材を購入し、その耐用年数が5年の場合は、「100万円÷5年=20万円」をその年の経費として計上します。

また、経費については、YouTuber特有の注意点もあります。YouTuberの中には家族でYouTube動画に出演し、家族旅行の様子などを紹介している動画などもみられますが、その際、行き来した交通費がどこまで経費として認められるかは判断が難しいところです。プライベートの旅行のついでに動画撮影をしたなら、交通費が経費として認められる可能性は低いでしょう。

また、撮影に使用した消耗品をプライベートでも使用する際は、プライベートで使う分を按分し、私的な部分を除いたうえで経費に計上する必要があります。

YouTube動画の撮影に使ったからといって、全額が経費にならない場合もありますので、その点には気を付けましょう。

YouTuberの副業をする際の注意点、稼ぐためのポイントは

副業でYouTuberをする際の注意点

まず、副業でYouTuberを始める前に、勤め先で副業が認められているか確認しましょう。特に、顔を出して動画に出演する場合は、会社に副業がバレやすいです。会社の就業規則で副業についての決まりを確認し、就業規則がない場合は上司や担当部署に相談してみましょう。

また、YouTubeで収益化してお金を稼ぐには、一定の基準をクリアしている必要があります。YouTubeには収益化の方法がいくつかありますが、通常の動画における収益化の条件は以下の通りです(2023年11月現在)。

・チャンネル登録者数が1,000人以上
・過去365日間の総再生時間が4,000時間以上または過去90日間のショート動画視聴回数が1,000万回以上

この基準をクリアするまでは基本的に収益化ができないため、YouTubeを始めたからといってすぐに副収入が得られるわけではない点には注意しましょう。

YouTubeで稼ぐためのポイント

YouTubeで稼ぐには、まずは投稿する動画のジャンルを決めましょう。ゲーム実況や料理、メイク、時事問題の解説のほか、商品紹介やレビュー、歌や楽器の演奏、車や電車など乗り物の紹介など、YouTubeにはあらゆるジャンルの動画が存在しています。

まずは自分が好きなもの、得意なものに絞り、動画を投稿してみましょう。中でも料理やレシピ紹介、フィットネス、ビジネスジャンルなどは初心者でも再生回数の伸ばしやすいおすすめのジャンルです。また、ペット動画も根強い人気、高い需要があります。

さらに、YouTubeでしっかり稼ぐには、動画撮影や編集のスキルを身に付けるのも欠かせないポイントです。不要なシーンをカットする、色調を変える、字幕や効果音を挿入するといった編集を加えると見やすい動画になりますし、チャンネル登録者数や視聴時間の増加につながります。

また、こうしたスキルがあれば動画編集の仕事を請け負えますし、人に教えるコンサル業もできるなど、YouTube以外の収益ポイントを増やしていくことにもつながります。スキルを身に付けることに重点を置き、YouTubeからの収益だけでなく、さまざまな案件も獲得できるよう視野を広げていきましょう。

YouTubeで一定額を超えて稼いだら、税金がかかる

YouTubeは誰でも気軽に始めることができますが、一定額を超えて収益が発生した場合、税金がかかり確定申告が必要です。また、YouTubeの動画撮影に使った機材や消耗品などは経費にできますが、経費に含められる部分とそうでない部分があるため、慎重な判断が求められます。わからない点は税務署や税理士に相談し、必要な場合はしっかり税金を納め、スキルを磨きながらYouTubeで稼いでいきましょう。