深い悩みがあっても周囲には相談しづらい…。そんな時、強い味方になってくれるのが「占い師」という存在です。中には、「相談するだけでなく、自分も占い師の仕事をしてみたい」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、本業を持ちながら副業で占い師をするYSさんに、占い師を始めたきっかけや本業と両立させるコツなどについて詳しくお話をうかがいました。

占い師さんに背中を押された経験から、自らも占い師へ

━━YSさんがされている占い師のお仕事について詳しく教えてください。

占いの中でもタロットと四柱推命、あと西洋占星術をやっています。小さい子どもがいる事情もあり、Zoomなどで直接占うのではなく、「ココナラ」のチャットでやり取りをする形です。リアルタイムでやり取りするのではなく、「24時間以内に結果をお送りします」という形で鑑定しています。

特にSNSなどで宣伝はしていませんが、ココナラが勝手に集客してくれるというか、ランキングに載れば誰かしらお客様が来てくれます。バラつきはありますが、鑑定件数は月に3人から5人くらいですね。私としては5件くらいがちょうどいいです。

私の場合、プロフィールに「シングルマザーです」と書いていることもあり、離婚の相談が多いです。ですので、1回の鑑定結果で終わりではなく、その結果についてもう少し知りたい、追加でお金を支払うのでもう少し見て欲しい、というお客様が多いですね。1人あたりにかける時間は長めかもしれません。

━━占い師のお仕事を選んだきっかけは何だったのでしょうか。

私は元々占いを受けに行くことが好きで、その中でもタロットが一番的中していたので、自分にはタロットが合っているんだなと思っていました。自分が離婚する時もどうしたらいいかわからなくて占いに行ったら、占い師さんが寄り添ってくれて心が軽くなって。「そんな人とは早く別れた方がいい」と背中を押してくれて、「そうだ、決断しなきゃ」と思えたんです。

離婚後は自分の時間も増えて、「何か在宅ワークをしたい」と思った時、 せっかくなのでタロット占いをやってみようと思って始めてみました。占いの勉強は本やYouTubeでしていました。YouTubeでは、タロットの覚え方を紹介している動画を観たり、あとは「三択リーディング」といって「A・B・Cの中から選んでください、Aを選んだ方は○○です」という鑑定動画を出している方がいるので、そういうものを観たりしていました。

YouTubeは、「このカードはこう読むのか」「本にはこう書いてあったけど、もっと自由に読んでいいのか」ととても勉強になりましたね。

また、自分が占いに行っている時から、占い師さんに「直感をくみ取るのが上手、占い師に向いている」と言われたこともあったので、それも占い師を始めたきっかけの一つでした。

━━占い師というと、「霊感や特別な能力が必要」というイメージがあるのですが、YSさんが「占い師にとって本当はこういうスキルが必要」と感じるものはありますか。

依頼を受け、タロットで鑑定をするYSさん

占いが好きなことは大前提ですが、占いには勉強が必要なので、知識を得るのが苦じゃないというのが大事だと思います。タロットはカードの意味さえ覚えれば割と自由に読んでいけますが、命術の1つである西洋占星術はけっこう知識がないとできないので。

あとは、「このお客様は何を言って欲しいか」を寄り添ってくみ取る、”カウンセリング力”が必要だと思います。どんなにカードを読めても、その時お客様が言って欲しくないことを言ってしまったら、ある意味「当たらない占い師」になってしまうんです。

たとえば「付き合いたいと思う人がいる」という相談の場合、たとえ「彼は最悪」と鑑定結果に出ていても、それをそのまま伝えてしまうと「この人は当たらない」と言われてしまう。「相性は三角だけど、こういう工夫をすればうまくいきますよ」などと声をかけると「寄り添ってくれる占い師さん」という評価をいただけます。

━━占いの鑑定は1件あたり1000円で設定されているようですが、1000円の中で鑑定結果についての質問もできるのでしょうか。

カードを1回引き、鑑定して1000円ですが、その結果について3往復までは質問をしていただけます。それとはまた違う質問をしたい場合はカードをもう一度引く必要があるので、追加で500円をいただく形です。

あとは離婚相談ですとけっこう切羽詰まっている方が多いので、1回引く分には無料にすることもあります。

本業の合間や寝る前…スキマ時間をうまく使うのが両立のコツ

━━月に3件から5件ほど相談が来るということですが、現在のようになるまでにはけっこう時間がかかりましたか。

最初の依頼が来るまで2ヶ月くらいかかりましたね。はじめはInstagramで集客していましたが、「3択リーディング」や「今日の運勢」などをあげている占い師さんが多くて、投稿が埋もれてしまい直接鑑定につながることはありませんでした。ネタを考えてリールを作って…など作業も多く大変でしたし。

はじめのうちは1ヶ月に1件来て、「やった!」という感じで、依頼がない月もありました。オープンチャットで「無料で鑑定します」という練習のようなものも3ヶ月〜半年くらいやりました。そのうち、ココナラで評価がつき、そこから徐々に依頼が増えましたね。

価格は500円の最低価格からスタートし、そこから1000円に単価を上げて、今は鑑定の種類によって1500円単価のものも用意しています。また、最初は離婚相談より「運命の人を占います」というもっとフランクな鑑定のほうに依頼が来ていましたが、評価が増えたら離婚相談が増えていきました。

━━ココナラで依頼を増やすために工夫したことはありますか。

ココナラは、頻繁にログインした方が良いのでそこは意識しています。前回のログインが1ヶ月前などになっていると、「この人依頼を受けていないのかも」と思われてしまうので。あとは、評価を積み上げていくこと、ココナラ内のブログを書くこと。定期的にメニューや出品の文章を見直したりもしています。

最初のうちは、他の占い師さんの鑑定を自分で購入して、「どういうやり取りをしているのか」と勉強して、「もっとこう言って欲しかったな」と思ったことを自分の鑑定に取り入れたりもしました。たとえば、鑑定を1回だけして一方的に終わってしまう人が多くモヤっとしたことがあったので、自分はやり取り3回までOKにしよう、など。

そうやって差別化することで、口コミでも「すごく寄り添ってくれました」という評価をいただけました。

━━次に、1日のスケジュールを教えてください。他にもお仕事をされているということですが、鑑定はどのタイミングに行っているのでしょうか。

本業がある日の1日のスケジュール

 

7時から7時半に起床し、家を出て8時半くらいに子どもを預けます。通勤には1時間くらいかかり、仕事は10時から16時。17時くらいに子どもを迎えに行き17時半帰宅。その後夕飯やお風呂を済ませ、21時頃子どもを寝かしつけるという感じです。

日中にココナラから「依頼が入りました」という通知が来たら、基本的にはすぐ悩みの内容を見て、もしその場ですぐ鑑定ができそうな場合は、鑑定して結果も3,4時間以内にはお送りします。ただ、日中仕事をしている間に依頼が来た場合は、依頼内容だけ確認し、質問がある場合は質問して、「本日夜のうちに返信します」と返信の目安だけ一旦お伝えします。

そして、帰ってきてから夕飯を作る前や子どもを寝かしつける前にカードを引き、子どもが寝た後に返信したり、それが難しい場合は翌朝に返信したりするという形ですね。

カードを引くこと自体は10分もかかりませんが、相手が傷つかないよう配慮した文章を打つのに1,2時間くらいかかります。消灯しても子どもが寝るまでに時間がかかるので、寝かしつけながら頭の中で返信内容を考え、子どもが寝たら暗闇の中でスマホにメモを打ち、貼り付けて返信する…などしています。

━━スキマ時間を活用するなど、色々工夫されているんですね。ちなみに、「また○○のことで鑑定して欲しい」というリピーターさんはけっこう多いのでしょうか。

たとえば、最初は「離婚しようか迷っている」という相談だった方に進展があり、今は離婚協議中という場合、「今の旦那の気持ちが知りたい」など、状況に応じて定期的にいらっしゃる方がいます。

あとは、「離婚が成立したので次の恋愛を見て欲しい」という方や、離婚相談のあと、「次は仕事について鑑定して欲しい」という方もいらっしゃいますね。

「重たい空気」に引っ張られてしまう大変さもある

━━占い師というお仕事は、どんな時にやりがいや楽しさを感じますか。逆に、大変だと感じるのはどんな時でしょうか。

YSさんが占いで使用しているタロットカード

 

やはり、悩んでいて「助けてください」と言って来てくれる方に対して一生懸命お答えし、「相談して良かったです」「頑張ります」と言っていただけた時に、この方の心を軽くできたと実感してすごくやりがいを感じます。

あとは、鑑定をしてみて「そうなんです」と言われ、当たっていたとわかるのも自分の楽しさとしてありますね。うまくカードを読めた、この人が欲しい言葉を提供できたということですので。

逆に大変なのは、占いは深刻な悩みを持った方がいらっしゃることもあるので、重たい空気に引っ張られてしまうことです。最初のうちは、暗い雰囲気に引っ張られて自分も落ち込み、特に、「一生懸命鑑定したけど、モヤモヤしたまま終わってしまった」という時は、「あの人大丈夫だったかな、解決したかな」と心配になってしまうこともありました。

そこを割り切れないと、1ヶ月にたくさんの件数をこなすのは厳しいだろうなと思います。

離婚相談にいらっしゃる方には、自分が育ってきた環境も複雑な方、周りにあまり言えない環境で育ってきた方も多いです。そういう雰囲気に引きずられてしまうので、あまりに優しすぎる人は、占い師をするのは難しいかもしれませんね。うまく気分転換できる人でないと、長続きはしない気がします。

━━では、今後の展望や目標などがありましたら、教えてください。

私はお客様の重い雰囲気に引きずられやすいので、あまり鑑定の件数は増やしたくないと思っています。ですので、受ける件数は今のまま変わらず月5件くらい、 多くても10件くらいにして、その分単価を少し上げたいですね。

今は安いサービスで1000円、高くて1500円にしていますが、それを2000円くらいにしたいです。あとは、タロット占いの覚え方を教えるサービスもやってみたいですね。その方が単価としては上げられますし、タロットなら初心者の方でもやりやすいので。

━━最後に、占い師をやってみたいと思っている方に向けてアドバイスをお願いします。

占い師は、「霊視をやります」という場合を除いて、霊感など何か特別な能力が必要なわけではありません。タロットや西洋占星術ならそういう特別な能力はいりませんので、占いが好きで興味がある方はぜひチャレンジしてみて欲しいです。

ココナラなど占いのサービスを提供する場所も整っているので、思っているほど難しくはないということを伝えたいですね。