
かつてはフルタイムで働いていた女性が、結婚や出産、介護など家庭の事情により仕事から離れるケースは多いもの。子育てや介護が一段落して「再就職」が頭をよぎっても、「仕事にブランクのある自分は雇ってもらえるだろうか」と不安になる人もいるでしょう。特に、40代や50代といったミドルエイジの再就職は難しいとも言われますが、実際どうなのでしょうか。また、再就職を検討する場合、スムーズに仕事に就くにはどのような準備が必要なのでしょうか。
-この記事でわかること-
- 最近では幅広い層から採用しようという企業の動きがある
- ただし、40代、50代からの再就職は甘いものではない
- 40代、50代から再就職を目指すなら入念な準備が欠かせない
- 柔軟に働くならフリーランスという選択肢も
目次
- 40代、50代での再就職は難しい?
- 再就職までに必要な3ステップ
- 1.自身の状況を整理する
- 2.家族の理解を得る
- 3.企業が求めるスキルを知る
- 40代、50代がスキルアップする方法3選
- 1.民間のセミナーやスクールの受講
- 2.大学のビジネス講座の受講
- 3.自治体の職業訓練の受講
- フリーランスに転向し柔軟に働くという選択肢もある
40代、50代での再就職は難しい?
子育てや介護の負担が減ってくると、「もう一度働きたい」と考える人は多いようです。それでも再就職に二の足を踏んでしまうのは、「長い期間、仕事から離れているし…」「この年齢で就職できるのだろうか」といった気持ちによるものも大きいでしょう。
実際、40代や50代からの再就職は厳しいという現実があります。少し前のデータになりますが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構がまとめた「中高年齢者の転職・再就職調査(2016年4月)」によると、45歳以上の女性の「転職・再就職前の月の賃金額」は10万円未満が40.6%、10万円以上20万円未満が38.8%、「転職・再就職後の月の賃金額」は10万円未満が48.6%、10万円以上20万円未満が31.6%という結果でした。
転職や再就職を経ると、賃金額10万円未満の割合は、転職や再就職前と比べて8ポイントも増え、10万円以上20万円未満の割合は約7ポイント減っています。再就職後は短い勤務時間を自ら希望している場合もあると考えられますが、以前と同じ職種や雇用形態で働くのが難しく、再就職前と同じようには収入を得にくいという状況もうかがえます。
一方、少子高齢化や人材不足が深刻化する中、最近では、「幅広い層から労働力を確保しよう」という企業の動きがあります。その中には、中高年層やブランク明けの主婦なども含まれており、40代、50代の主婦が再就職しやすい社会の基盤は以前よりも整っているといえるでしょう。ただ、多くの企業は未だ30代までの若い世代を求める傾向にあります。
40代以降で再就職を目指すなら、20代、30代以上の入念な準備が欠かせません。再就職までには具体的にどのような準備が必要なのでしょうか。
再就職までに必要な3ステップ
40代、50代で再度働き始めることを決めたら、以下のようなステップで準備を進めましょう。
1.自身の状況を整理する
まずは現在、ご自身がどのような状況にあるのか整理してみましょう。特に、昨今では晩婚化の傾向があり、40代以降の女性でも、「まだ子どもに手がかかる」という人もいらっしゃるのが現状です。その場合、子どもの年齢や預けられる時間帯などから、1日何時間・週に何日働けるのか、どのくらいの範囲まで通勤できるのかなどを考えましょう。
現実的にどのくらい働けるのかを考えることで、正社員かパートかといった働き方を決めやすくなります。さらに、希望する収入も明確にしておきましょう。
また、ご自身の体力と相談し、働く量を考えるのも大切なことです。50代以降になると、「フルタイムで働くのはキツイ」という声を聞くこともあります。再就職を成功させるには、はじめから無理をしないことも重要なポイント。まずは短時間で働き始め、徐々に時間を増やすという選択肢もあります。
2.家族の理解を得る
働き始める前には、家族と話し合い、家事の分担などについての理解を得ておきましょう。今後働き始めるとどのような点が変わるのか、どのような点で協力が必要になるのか、夫や両親、子どもにしっかり伝える必要があります。
あらかじめ再就職後のイメージを共有しておけば、「いざ働き始めたら生活が回らなくなった」という事態は回避できるはずです。実際にどうなるかは働いてみないとわかりませんが、予想できる範囲の変化を自分自身が把握するという意味も込めて、家族に伝える機会を設けましょう。
3.企業が求めるスキルを知る
具体的にどのような職種で働くのか目途がついたら、その仕事をする上で企業から求められるスキルを調べてみましょう。職種によっては資格が必須だったり、必須でなくとも資格があることで就職が有利になったりするケースもあります。
また、以前経験したことのある職種でも、ブランクの間に業界の環境が変わったり、新たな知識が必要になったりすることも珍しくありません。過去のやり方にとらわれず、新しいことを積極的に吸収しようとする姿勢で就職活動をしましょう。
さらに、コミュニケーションが重視される職場もありますし、それほどではない職場もあります。企業によって仕事のペースも異なるものです。資格や知識に限らず、その企業では何が求められるのか総合的に見極めましょう。
40代、50代がスキルアップする方法3選
40代、50代が仕事のブランクをカバーし、スムーズに再就職するには、新たな知識や能力を身に付けることや、すでに知っている分野でも知識をブラッシュアップしておくことがとても重要です。資格を取ったりその分野の知識を深めたりすれば、再就職しようとしたとき有利に働く場合もあります。スキルアップするには、以下のような方法があります。
1.民間のセミナーやスクールの受講
一つめは、資格学校や企業が提供するセミナーやスクールなどで学ぶ方法です。Webデザイナーやプログラマーなど、パソコンで仕事が完結するIT系の仕事の場合、オンラインセミナーのみで受講が完了するものも多くあります。セミナーやスクールは数多くあり、金額や学ぶ期間、内容もさまざまです。
再就職までの期間や受講予算、希望する仕事内容や難易度などを考え、自分に合うものを受講しましょう。
2.大学のビジネス講座の受講
大学には、一般の社会人に向けた講座が用意されていることがあります。講座の内容は大学によって異なり、たとえば、明治大学の「ビジネスプログラム」では、「マーケティング」「マネジメント」「ビジネススキル」など、スキルアップやキャリアアップを目指す人に向けた幅広いジャンルの講座が用意されています。
講座によって回数は異なりますが、5回程度で完結するものが多く、費用も数千円~1万円台と比較的安価に抑えられています。
こうした短期集中型の講座は多くの大学で受講可能ですので、ご自身が身に付けたいスキルや学びたいジャンルの講座を探してみると良いでしょう。
3.自治体の職業訓練の受講
全国の自治体で提供している職業訓練のプログラムには、再就職に関する訓練も多数存在します。中には、再就職を目指す女性限定のコースや、託児サービス付きで受けられるものもあります。
自治体の職業訓練は、教科書代等が実費でかかるほかは、原則として無料で受けられます。事務の基本スキルだけではなく、資格取得のためのプログラムもありますので、ぜひ確認してみましょう。
フリーランスに転向し柔軟に働くという選択肢もある
仕事のブランクが長いと「勤めるのはもう難しい…」と思いがちですが、自己分析やリスキリングなどの準備を重ねて再就職に臨めば、40代、50代からの再就職は必ずしも不可能ではありません。ただし、「以前と違って子どもがいるので、働ける時間が限られている」「企業の提示する条件と自分の働ける条件が全く合わない」というケースもあるでしょう。その場合、フリーランスに転向し、自分のペースで働くという選択肢もあります。
参考:【ブランク5年でも在宅で月20万円】現役Webライターのかいすみれさんに聞く「バランスの良い働き方」
フリーランスで収入を得るには、継続して最新の知識や専門スキルを身に付けていく必要がありますが、自分や家族のライフスタイルに合わせて働く時間・場所を柔軟に決めやすい点はフリーランスの大きなメリットです。徐々にスキルアップすれば、将来的には、自由度高く働きながら高収入が得られる可能性もあります。
また、年齢を重ねているからこそ経験値が高く、コミュニケーションスキルや適応能力といった強みがあるのもこの年代ならではです。せっかく再就職を目指すなら、年齢やブランクをネガティブにとらえるのではなく、少しでも有利な材料として企業に伝える工夫もしてみましょう。