<相談内容>

「高2の娘は高校卒業後、就職予定でしたが、急きょ大学受験をすることになりました。予備校費用や大学進学費用など出してあげたいですが、自分たちの老後資金も気になり、どのくらい出していいのか決められずにいます。

また、現在私は週3日パートで働いていますが、子どもの教育費が増えるのを機にもっと本格的に働ければと思っています。ただ、家事と仕事の両立には不安がありますし、どうやって仕事を探せばいいかわからず悩んでいます。アドバイスをお願いしたいです」

<相談者のプロフィール>

  • 相談者47歳(パート勤務)
  • 夫48歳(会社員)
  • 長女17歳(高2)

<1ヶ月の収支内訳>

<収入>

  • 夫婦の手取り収入合計46万円
    (夫34万円、妻12万円)

<支出>

    • 支出合計:41万円

(内訳)
住居費11万円
食費8万円
日用品費1万5,000円
水道光熱費2万5,000円
通信費2万円
保険料4万円
教育費・お小遣い3万円
交際・娯楽費3万円
医療費1万円
夫婦のお小遣い5万円

<貯金額>

定期預金100万円
普通預金300万円
その他、財形貯蓄など150万円

ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

  • 大学進学費用の平均は、私立文系で約410万円、私立理系で約540万円。無理して全額を工面せず奨学金の利用も考えましょう。
  • 予備校費用は毎月の収入から、大学進学費用は貯金から出しましょう。
  • 収入が増えるなら、大学進学のための支出が増えても、貯金を続けられる家計です。
  • 老後のための資金作りはこのまま続けましょう。
大学進学費用は無理せず、奨学金の貸与も検討する

お子さまが進路変更で、急きょ大学に進学するとのこと。貯金はしていても、大学進学費用としてお金を貯めていなければ資金の工面が不安だと思います。
大学進学費用は、私立文系学部では平均410万7,760円、私立理系学部では平均541万7,533円かかります(※)。ご自身の老後資金の準備もありますので、学費の全額を無理して出すのではなく、貸与型奨学金の利用も考えましょう。
注意したいのは、最近はさまざまな入試の形があり、総合型選抜など高校3年生の11月ごろから始まる入試もあるという点です。時期の早い入試の場合、合格発表や入学手続き、入学金や前期授業料などの納付も早くなります。
また、奨学金を借りられるのは大学入学後の4月からですので、入学金などは奨学金で対応できません。お金が必要になる時期や、奨学金を充てられる学費とそうでない学費を把握し、奨学金で対応できないものは貯金でまかなえるようにしておきましょう。

(※)令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について

予備校費用は毎月の収入から出し、費用を抑える工夫もしよう

大学受験をするとなると、予備校に通うことが考えられますが、大学進学費用は貯金から、予備校の費用は毎月の収入から出すようにしましょう。高校生が予備校に通う場合、年間にかかる費用の平均は約50万円程度とされています。

毎月約4万円かかるとしても、お子さまが受験期に入れば娯楽・交際費は減るでしょうし、費用の捻出が難しいという状況にはならないでしょう。今後、相談者様の収入がどのくらい増えるかはわかりませんが、今より収入が増えるのであれば、予備校費用を出しながら貯金もできる家計です。
受験勉強にかかる費用も、工夫すれば抑えられます。最近はさまざまなオンライン学習が充実していて、費用も予備校より安い傾向にありますので、予備校とあわせて活用しましょう。
また、予備校やオンライン学習の費用にも予算を設け、その中で勉強できるよううまくやりくりしましょう。

老後資金の貯金はペースを落とさないで

ご夫婦ともに40代後半ですので、大学進学費用のために貯金を切り崩しても、老後資金として使うお金はしっかり確保したいところです。現在老後資金を貯めているなら、なるべくペースは落とさず貯めていきましょう。

大学進学には奨学金、教育ローンなどの手段がありますが、いざ老後資金が足りなくなっても、そのような手段はありません。

大学進学費用や奨学金の貸与金額の詳細などをしっかり調べたうえで、「大学受験にかける費用はいくらまで」と決め、その予算を超えないようにしましょう。

キャリアコンサルタントからのアドバイス

  • 家事と仕事を両立するための工夫をしましょう
  • 仕事を探すにはさまざまな方法があります
  • 仕事探しには柔軟性を持ちましょう
家事と仕事の両立

今後、働く時間が増えれば、両立できるか不安になりますね。ご家族に相談して家事分担を見直す、時短家電や家事代行サービスなどを活用するなど工夫していきましょう。完璧は目指さず、ご自身を労わりながら、健康的かつ継続的に働ける環境づくりを目指しましょう。

仕事の探し方

対面では、ハローワーク、行政などの女性向け就労支援相談窓口などがあります。自己理解や応募書類作成、面接アドバイスなどのサポートがあり、ひとりでは不安という方におすすめです。ほかに、転職エージェントや派遣会社に登録する、知人の紹介、勤務先の正社員登用制度利用などがあります。

求人サイトでは、幅広く情報収集できます。ただ、情報の動きが速く、検討している間に逃してしまうこともあるようです。気になる求人を見つけたら、すぐに応募できるよう準備しておくとよいでしょう。

仕事探しを成功させるポイント

条件の優先順位を明確にしましょう。例えば「月収○万円なら雇用形態はこだわらない」、「土日は休みたいけど月に○回なら出勤できる」のように、どうしても譲れない条件以外は応募先にすり合わせていく柔軟性をもちましょう。
最後に、これからの人生をどう生きていきたいか、といった中長期的なビジョンももち、ご自身のために働く視点も忘れないでくださいね。