
日本語学校や海外の学校などで、外国人に日本語を教える「日本語教師」。2024年4月からは、国家資格になったことでも知られています。特に国内では、年齢に関わらず需要があると言われる日本語教師ですが、現役の日本語教師は普段どのように働いているのでしょうか。今回は、中国・青島の大学に日本語教師として勤めるMAさんにお話をうかがいました。
日本語教師になった幼なじみからのハガキがきっかけで、自身も日本語教師に
━━MAさんは現在、中国の青島にいらっしゃるとのことですが、日本語教師としてどのようなお仕事をされているのか教えてください。また、以前はどのようなお仕事をされていましたか。
現在は、中国・青島の大学の日本語学科で日本語を教えています。昨年は、外務省のEPA事業の一環としてベトナムに滞在し、日本で介護士を目指すベトナム人を指導しました。
また以前は、アルバイトで大学の教授秘書やコールセンターなどをしていました。結婚や出産が20代半ばと早く、どうしても子ども中心の生活にならざるを得なかったので、アルバイトが多かったですね。海外から仕入れたものを自分でネット販売していたこともあります。
━━さまざまなお仕事を経験されたのですね。日本語教師はどのようなきっかけで始めたのでしょうか。
元々、日本語学校の先生という存在はあまり知りませんでした。しかしある時、ベトナムにいる幼なじみから、「ベトナムで日本語教師をしてもう1年半だよ」というハガキが届いたんです。その幼なじみは全くの未経験から日本語教師を始めましたので、「日本語教師なら今からでもできる」と思い、新たにキャリアをスタートしました。
━━現在は、1週間にどのくらい稼働されていますか。また、収入も教えてください。
以前、別の大学でも働いたことがありますが、その時は週に16時間や12時間くらい授業を受け持つというのが割と一般的でした。現在の大学のクラスは今年2月からスタートしましたが、授業は週に10時間ですね。1コマ50分で、1日2コマ×5日間という感じです。
授業時間以外は、遊んでいても大丈夫です(笑)。1ヶ月のお給料は7500元で、今のレートが1元約20円なので、月収は日本円で15万円です。ただ、大学の寮に住んでいて、水道光熱費など生活にかかる費用は大学が出してくれます。ちなみに、今の学期は授業が週に6時間ですが、お給料の金額は変わらず固定で15万円です。
授業以外の時間で、授業の準備をすることもありますが、これまで作ってきた資料を使いまわせるのでさほど時間はかかりません。新たに資料を作る場合は、1時間くらい費やす程度です。
ちなみに、以前コールセンターで1日8時間、週5日働いていた頃と今では、収入自体は変わらないですね。

午前中はコールセンターで働きながら日本語教師の資格を取得
━━日本語教師の資格はどのように取得されたのでしょうか。
「ヒューマンアカデミー」の日本語教師養成講座に通いました。費用は60万円くらい、今は値上げしてもう少し高いようです。私の場合、「早く講座を受けて資格を取得したい」と焦っていたので、最短6ヶ月で終わるコースを7ヶ月で終えました。コールセンターで働きながらでしたので、午前中に仕事をして、午後から講座に通っていましたね。
土日も講座があったので、フルタイムで働きながら通っている人もいました。
━━資格を取得された後、日本語教師としてお仕事を得るのは大変でしたか。
通っていたヒューマンアカデミーの方に求人が来ていましたので、大変ではなかったです。ヒューマンで模擬授業を行う機会があってチェックしてくれましたし、採用面接にもヒューマンの方が同行してくださりました。
はじめの就職以降は、自分でインターネットで求人を調べて見つけました。今の仕事はエージェントが間に入ってくれ、先方へ打診してくれたり面接につないでくれたりしたので、さほど苦労はなかったですね。就職先が決まった後の手続きや、書類などの手配もしてくださったので。
━━ちなみに、中国で働くにあたり、中国語はどのくらい話せる状態で向かったのでしょうか。
中国語は全くできない状態で行きましたが、それでもけっこう生活できるんだというのを実感しているところです。私が接するのは日本語が話せる人だけなので、基本的には問題ないですね。それに中国は、スタバでもレストランでもQRコードで注文ができますし。
━━1日どのように過ごされているのか、授業がある日のスケジュールを教えてください。
私は早くても10時からの授業が多いですが、学校の授業開始は8時なので、8時から授業がある時は6時半頃起床します。授業前に自室でゆっくり朝食をとり、それから授業へ向かいます。授業時間は曜日によってバラバラですが、授業が終わり次第自分の部屋に戻ってのんびりしています。
夕飯も食堂でとることが多く、夕方17時に食堂に向かいます。中国は日本と比べて食事などが1時間くらいずつ早いので、17時に食堂が開いて18時半にはもう閉まってしまうんです。また、自分で料理をすることもありますね。イオンまで片道1時間くらいかかりますが、週1〜2回くらい買い物をしに行きます。
授業後は、自分の時間もけっこうあります。基本的には日本時間で過ごしているのですが、22時くらいには就寝しています。
ちなみに、日本のテレビ番組もインターネットでけっこう観ています。NHKや、あとはTVerで夜の時間帯の番組は観られますね。

日本と中国、お互いの文化の違いを知る楽しさもある
━━日本語教師というお仕事について、どのようなところにやりがいや楽しさを感じますか。
実際に授業をしてみると、学生さんたちが真剣にこちらを向いて話を聞いてくれてやりがいを感じています。
また、お互いの文化の違いを知ることができるのも楽しさですね。これまで当たり前と思っていたことが、当たり前ではないと気づくことができるんです。たとえば、「1、2、3…」という数を手で表す方法も、日本と中国では形が違う。授業中にもそういう素朴なことで盛り上がっています。知っているようでお互い何も知らないというのが興味深いですね。
それと中国では、先生はすごく偉い存在なんだそうです。ある時、授業中にミスをして「ごめんなさい」と中国語で口走ったら、学生のほうが「先生は謝ったらダメ」と恐縮してしまって。そういった文化の違いを感じられるのが面白さですね。
━━逆に、日本語教師として大変さを感じるのはどんな時ですか。
たとえば、学期末の評価で、「自分では5だと思ったのに、4や3の評価が付いてしまった」ということもあると思います。そういった時、日本なら「4だったか」と受け入れることがほとんどだと思いますが、中国では「どうしてですか?私のどこがいけなかったのですか?卒業したいので良い点にしてください」と直談判してくる生徒がいるんです。
それを学校側に相談すると、「あの生徒はいつまでも学校にいられると困るから、良い点を付けて卒業させてください」と言われて、モヤモヤすることがあります。日本の感覚やモラルでは考えられないことですので。
━━それは驚きです。次に、今後の展望や目標があれば教えてください。
元々1年だけのつもりで中国に来て、その後は別の地域で仕事をしようと思っていました。しかし、最近は日本語教師の年齢が下がっていて、私は現在59歳ですが、新たに採用されるのは難しいかもしれないと思い始めました。ですので、今はここでもう1年働こうかと考えています。
インドやミャンマーは年齢に関係なく日本語教師として働けるようなのですが、衛生状態も悪いですし、生活環境も厳しいので住むには難しいかなと。

━━最後に、日本語教師を目指している方や興味がある方に何か一言アドバイスをお願いします。
60歳からでもスタートできる仕事はなかなかありませんが、日本語教師ならそれが叶います。PCスキルが必要、上司が年下になるかもしれないというのはありますが、それらを気にしないのならぜひチャレンジしてもらいたいですね。